公共工事を元請けとして受注するまでの流れ

公共工事も下請として携わっている建設業者の方も多いと思います。しかし、公共事業を元請けとして受注するためには入札に参加しなければなりません。そして入札に参加するためには入札に参加する資格が必要になります。官公庁では入札を希望する業者に対して「競争入札参加資格審査」を実施しています。業者は事前にこの「競争入札参加資格審査」の申請書を希望する官公庁に提出し、有資格者名簿に登録されることで、はじめて入札に参加することができます。
競争入札参加資格審査を申請するには、経営事項審査の結果通知書を提出しなければなりません。そして、経営事項審査を申請するには、建設業許可を取得している必要があります。無許可の建設業者は経営事項審査を申請できません。

 

競争入札の目的は、公平かつ公正に業者を選び、適正な価格で契約を結ぶことです。そのため、国や都道府県、市町村等の地方自治体は、公共工事を発注する際は、原則として、「一般競争入札」によって業者を決定します。一般競争入札とは、業者を指定せずに行う入札のことで、誰でも入札に参加することができる入札方法のことですが、誰でもといっても、あらかじめ「入札参加資格審査」を行い、その結果により建設業者の名簿を作成し、その名簿に登録している建設会社だけが入札参加を出来るようになっています。
公共工事の受注する方法としては、他に、大きくは「指名競争入札」と「随意契約」の2つがあります。しかし、大半は一般競争入札になっています。
指名競争入札:業者を数社の業者が指名され、一番安いところが落札できることになります。
随意契約:一社のみが指名されて契約します。

 

経営事項審査は、建設業者の経営状況、経営規模、技術力、社会性などを審査し点数化するもので、公共工事の発注先を決定するときにその業者を客観的に審査するためのものです。
競争入札参加資格審査は、この経営事項審査の点数に発注者の主観的審査の点数が加えられて審査資格の結果が出ます。この結果によって有資格者名簿に登録され、業種によってランクがつけられます。このランク(格付け)によって受注できる公共工事の規模がかわってきます。

 

公共工事を受注し、竣工までの流れを簡単に記載すると次のようになります。
1.建設業許可を取得する。(5年間有効)
2.経営事項審査の申請をする。(毎年申請)
3.官公庁に競争入札参加資格審査を申請し、競争入札の資格を獲得する。
4.競争入札に参加する。
以下に、詳しく見ていきます。

 

1.建設業許可を取得する。

 

  建設業許可の取得については、「建設業許可の要件」の記事を参照ください。

 

2.経営事項審査の申請をする。

 

  経営事項審査の概要については、「経営事項審査とは?」を参照ください。

 

東京都においては2つの条件として、「都と契約する営業所において必要とする建設業許可の種類」と「総合評定値を必要とする経営事項審査の業種」があります。
一般的には決算終了後に毎年受け続ける必要があります。この審査で、建設業者としての評価点がつけられます。この評価点に応じて、発注者である役所が業者をランク分けされます。ちなみに、会社設立直後であっても経審は受けることができますが、点数は低くなります。
経営事項審査を受ける際には、後の公共工事の入札の際に、どの工事業種で入札するのかを検討した上で、どの工事業種で高い評価点を狙うかを考えるほうがよいと思います。
例えば「下水道施設工事」の業種を希望する場合の例でみてみましょう。
東京都と契約する営業所において必要とする建設業許可の種類・・土・水
総合評定値を必要とする経営事項審査の業種・・土・ほ・水
となっています。
このことは東京都と契約する営業所は許可業種として、「土木一式工事、水道施設工事」のいずれかを有していなければならず、さらに、経営事項審査を「土木一式工事、舗装工事、水道施設工事」のいずれかで受けていなければならないということになります。
このような場合は、経営事項審査における評価点を上げるためには、完成工事高の振替えについて検討したほうがよいでしょう。
つまり、自社の有する許可業種は一式工事と舗装工事であるという場合は、経営事項審査の際、舗装工事の完成工事高を土木一式工事の完成工事高に振替えておけば、土木一式工事の工事高が増えるので評価点は高くなるということになります。ただし、振り替え元の業種は経審の申請自体ができません。つまりその業種には経審点がつきませんので、公共工事の入札参加資格申請もできませんので、土木の評価点は高くなっても、舗装工事は入札参加資格がないということになりますので、注意しましょう。

 

また、中央省庁の指名参加申請では、建設業の29業種そのものを申請上の「種目」にしているのに対し、地方公共団体では建設業の29業種をより詳細な種目に分けています。これは、地方公共団体においては、より地域に密着した事業を行うことから、中央省庁とは発注の仕組みが異なるためです。
例えば東京都においては、98種類(建設業許可と経営事項審査の不要な設計・測量・調査、船舶の製造・修理等も含む)と特殊工事の20種類となっており、土木工事だけでも「橋りょう工事・河川工事・下水道施設工事・一般土木工事・潜かん・軌道・シールド工事・推進工事・地下鉄工事・運動場施設・・・・」と多数に分かれています。どの工事業種で入札を狙うのか、そのために経営事項審査の評価点をどう高くなるようにするのかを考えるということが重要です。

 

3.官公庁に競争入札参加資格審査を申請し、入札の資格を獲得する。
指名参加申請に関しては「契約を希望する各官公庁」毎に申請する必要があります。
現在では「電子入札」の導入に連動して、指名参加申請も多くの官公庁で「電子申請」が実施されています。尚、建設業許可申請や経営事項審査申請(経審)のように、官公庁へ納入する手数料はかかりません。
入札参加資格の申請時には、消費税、地方消費税や都道府県税、市町村民税等の完納証明書が必要となります。必要な税金を完納している必要があります。

 

有資格者名簿に登録される期間は2年間が一般的です。但し、官公庁よってその有効期間は異なる場合があります。
1年に一度、10月ごろから2月頃までが受付期間で、次年度の4月1日から適用されるというのが一般的です。申請期間が過ぎても随時申請を受付けている官公庁もあるようですが、官公庁によっては申請期間が限られていることもあります。

 

4.競争入札に参加する。
各官公庁の発注計画や公募は、公報やホームページ上で行われています。建設業関係に特化した各社新聞紙上でも掲載されています。公募では、工事件名・施工場所等の他に、対象となる格付(ランク)と受付期間、入札日が掲載されています。この受付期間内に希望票を提出します。現在では多くの官公庁で「電子入札」が導入されています。

 

最近では最低制限価格について落札されるまでは公表しないということが一般的です。また、平成26年から法律が改正され、入札金額の内訳を記した書類の添付が必要となりました。見積もり金額の算出にあたっては、費用を一つ一つ積み上げていく「積算」を行います。

 

官公庁発注の工事は、公共性の高いものとして良質な施工を確保することが重要となっています。その為、各種目毎に格付(ランク)を設定し、各発注工事はその施工に適した格付の建設業者に受注させることとなります。つまり、自社の有する力以上の工事は受注できないということです。格付は各種目毎のテーブルが設けられています。
中央省庁においては、許可業種における経営事項審査の総合評定値P点によって格付が決定するのが一般的です。
一方、地方公共団体においては、客観的審査事項(経営事項審査申請の総合評定値P点)と主観的審査事項(各種目における最高完成工事実績)によって決定されるのが一般的です。

 

発注者から入札前に工事内容資料が共有されるので、資料に基づき工事金額を積算し、入札します。選定する基準は金額が大部分を占めており、工事によっては施工方法や安全性等を総合的に判断する場合もあります。また、発注者側で最低落札価格を決めているので、最低落札価格を下回らない金額を算出しなければ受注することはできません。落札した場合は発注者と工事請負契約を交わして施工を請負うことになります。

 

指名参加申請後の手続き
建設業許可同様、代表者、称号、所在地などの変更が生じた場合は変更届を出す必要があります。
契約の際に使用する「使用印」の変更が生じた場合や、各営業所の契約担当者が変更した場合も届出が必要ですのでご注意ください。
官公庁との契約において、代表印以外の実印を使用する場合は、その印が「使用印」となります。

対応エリア

東京都区部:
足立区、荒川区、板橋区、江戸川区、大田区、葛飾区、北区、江東区、品川区、渋谷区、新宿区、杉並区、墨田区、世田谷区、台東区、中央区、千代田区、豊島区、中野区、練馬区、文京区、港区、目黒区
多摩地域:
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