間違えやすい工事業種と注意点

建設業法で定められている工事業種でも、紛らわしい、間違えやすいものが多々あります。ここではそのいくつかを御紹介したいと思います。

工事業種の確認資料

建設業法で定められている工事業種は29種ありますが、自分が施工する工事がどの工事業種に該当するのかを、正しく理解することは非常に大切だと思います。
新規申請時に経営管理の責任者または営業所の専任技術者の実務経験の証明が必要となる場合に、注文書・請書や請求書などでその実務経験を証明する必要がありますが、その工事名称においては、該当する工事業種を意識しておいたほうがよいでしょう。もちろん、どの業種の工事なのかは、工事の名称ではなく実態(内容)で判断されるものですが、注文書・請書や請求書において、実態を表す名にしておいたほうがよいということです。
さらに直近の事業年度の工事実績を記載した工事経歴書も作成する必要があります。(新規設立会社の場合を除きます)
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また、許可取得後においては、毎年、許可行政庁に対して決算変更届を提出しなければなりません。
許可行政庁によっては事業年度終了報告書と言っています。その中には、対象事業年度の工事実績を記載した工事経歴書も含まれています。
注文書類の工事名称だけで工事内容を判断してしまうと間違った工事経歴書を作成することになってしまいます。

間違えやすい工事業種の具体例

エアコン設置は、どの工事業種?
エアコンは、一般には電気店で購入して、工事も併せて依頼すると思いますので、電気工事かと思いがちですが、配管が関わってくるため、管工事となります。
コンセント設置などの電気工事を伴うこともありますが、エアコン設置における主たる部分は配管工事になります。
また、既にエアコンが設置されている「買い替え」であれば、電気工事が生じることはほぼありません。

 

ユニットバスやシステムキッチンの据付
配管に関する工事を含まないユニットバスやシステムキッチンの据付は「とび・土工工事」に当たります。
配管に関する工事を伴うユニットバスやシステムキッチンの据付は、管工事に該当します。

※システムキッチン(ビルトインキッチン)とは、調理台(ワークトップ)、流し台(シンク)、コンロ台(IHコンロやガスコンロ)が一枚の天板でつながったものです。

システムキッチンではないキッチンはセクショナルキッチン(コンビネーションキッチン)と呼ばれています。

 

解体工事
一棟解体以外の部分的な解体については、現在では、その対象物を建設する際に必要であった工事業種の解体として施工することになっています。
例えば、内装解体はクロスや床をはがすだけのであれば、とび・土工工事ではなく内装仕上工事になります。ただし、コンクリートはつりを伴う解体の場合には、内装仕上工事ではなくとび・土工工事になります。

※斫り(はつり) とは、コンクリート面、または石などの出っ張っている部分をのみなどで削り取ることをいいます。

 

鉄骨の組立
鉄骨の制作・加工・組立を一貫して請負う場合は「鋼構造物工事」になります。
既に加工された鉄骨を現場で組立てることを請負う場合は、「とび・土工・コンクリート工事」になります。

 

法面処理のためのモルタル吹付
「とび・土工・コンクリート工事」になります。(モルタル吹付ですが法面処理のためですので、左官工事ではありません)

 

建物へのモルタル吹付
「左官工事」になります。(建物に対しての吹付のため左官工事になります)

 

トンネルの防水工事
「とび・土工・コンクリート工事」になります。(防水工事ではありません)

 

舗装道路のガードレール・標識の設置工事
「とび・土工・コンクリート工事」になります。(舗装工事ではありません)

 

型枠工事
「型枠工事」とは、コンクリートで建設物を作る際に、コンクリートを流し込む前の型を作る作業のことです。「型枠工事」の分類は、「大工工事」とされています。「大工工事」という業種は木工造作を主なものとしており、型枠においても木製を想定したものです。大工としての知識と経験が必要になる仕事です。
ただ、実際には、型枠工事といっても木枠とは限らず、鋼製、アルミ製型枠もあり、これらは大工工事とはいえません。木製以外であれば、型枠工事については、「とび・土工・コンクリート工事」に該当する場合が多いのです。
また、コンクリートの打設は、「とび・土工・コンクリート工事」に分類されています。コンクリートの打設をメインに請負って、型枠工事からコンクリートの打設までを施工する場合ですが、請負った工事業種は「とび・土工・コンクリート工事」となり、型枠工事は附帯工事になる場合があります。

 

建物の外壁工事
建設業法上、「外壁工事」という工事の種類はありません。
・外壁シーリング・・・「防水工事」
・塗装・・・「塗装工事」
・外壁の木製型枠施工や耐震施工・・・「大工工事」
・サイディングボード工事・・・窯業(ようぎょう)系サイディングであれば、「タイル・れんが・ブロック工事」になりますし、板金系サイディングであれば「板金工事」になります。

 

従って、これらの工事業種を全て取得するのがベストということになりますが、技術者の資格で、「二級建築施工管理技士(仕上げ)」であれば、防水工事、塗装工事、大工工事、、「タイル・れんが・ブロック工事」、板金工事の全てをカバーできます。
では、この1人の技術者(Aさんとします)が複数の工事業種をカバーする場合に、営業所の専任技術者や主任技術者は1人でいいのでしょうか?
この場合、いずれもAさんは同一営業所において、複数業種の専任技術者になることはできます。
ただし、単一業種であっても複数業種であっても、専任技術者と主任技術者を兼ねることは、原則、できませんので注意しましょう。その理由は、主任技術者は、工事(施工)現場に常駐する必要があるからです。(例外的に兼任できる場合もあります)

 

外壁と併せて外構工事も行うとなると、外構工事は「とび・土工・コンクリート工事」になりますが、実は、「二級建築施工管理技士(仕上げ)」ではなく、「二級建築施工管理技士(躯体)」の資格が必要になってきますので、さきほどの例では、Aさんが、仕上げと躯体の両方の資格を持つか、もう一人のBさんが躯体の資格を持つかしないといけません。
ただ、外構工事の部分は、外壁工事に比べて少ないのであれば附帯工事にできる場合もあります。
また、サイディング工事には、防水処理の部分も通常、含まれているかと思いますが、「タイル・れんが・ブロック工事」の許可を持っていれば、防水工事の許可を取らなくても附帯工事として行うことができます。
※外構工事・・・住宅の外側の工事で、門扉、門灯、ブロック、駐車場、ウッドデッキなどの工事。

 

また、資格がないので実務経験で取ろうという場合には、1人で複数業種の経験を持つのは、それぞれに10年の経験ということになるので、かなり困難と思います。現実的には、それぞれの業種の経験を持っている別々の方が技術者として必要だということになるのではないでしょうか。

 

なお、附帯工事については、附帯工事の注意点を参照ください。

 

計装工事
建設業法上、「計装工事」という工事の種類はありません。
一般に計装工事というと次のような内容を指しているかと思います。
1.空調工事などで、冷凍機・ファンコイル・膨張弁・ヒーターなどを組み合わせ制御する工事等。
2.工場内の製造ラインなど(単純にコンベアラインなども含めて)の工事等。
3.「制御システム」「制御工事」と呼ばれることも。
内容により、「電気工事」または「電気通信工事」または「管工事」になります。

 

屋根一体型の太陽光パネル設置工事
「電気工事」かと思いがちですが、「屋根工事」になります。

 

太陽光発電設備設置工事
屋根一体型でない限り、「電気工事」になります。屋根一体型の場合は、屋根工事になります。

 

まとめ

間違えやすい工事業種と注意点について解説してきました。工事経歴書、完成工事高の記載の際にも工事業種は注意する必要があります。また、注文書・請書や請求書などの記載する際は、工事業種が分かるような記載を心がけることが大切です。

 

 

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