大臣許可と知事許可の違いについて解説!

建設業,許可,行政書士
建設業の許可には、国土交通大臣による大臣許可と、都道府県知事による知事許可があります。申請する行政庁が国土交通省の地方整備局になるのか、都道府県(の建設課)になるのかに分かれます。どちらの許可を申請するのかは、営業所の数と所在地が複数の都道府県にまたがるのかで自動的に決まるので、どちらかを希望して申請するわけではありません。大臣許可のほうが上のようなイメージを持たれるかもしれませんが、そういうことはありません。大臣許可と知事許可の違いがよく分からないという方に役立つ記事になっています。

1.大臣許可と知事許可の違い

大臣許可:
大臣許可を受けるのは、2以上の都道府県に営業所を設ける場合です。
知事許可:
知事許可を受けるのは、一の都道府県内にのみ営業所を設ける場合(一の都道府県内に複数の営業所を設ける場合も含む)です。

 

たとえば、A県の営業所で一般建設業の建築工事業を、B県の営業所で特定工事業の土木工事業をそれぞれ営業しようとする場合は、A県とB県でそれぞれ知事許可を申請するのではなく、まとめて大臣許可を申請すればいいのです。
ただし、同じ申請者が大臣許可と知事許可の両方を取得することはできません。例えば、土木工事で大臣許可と知事許可を両方取得するとか、土木工事は大臣許可、建築工事は東京都知事許可というような取得はできません。会社としてどちらか一方のみの取得になります。
また、複数の営業所がある場合に、例えば本店は土木工事、建築工事の2業種の許可、他の営業所では土木工事のみ1業種の許可というように営業所ごとに同じ業種や異なる業種の許可を受けることはできますが、これらの営業所がひとつの都道府県にある場合は知事許可を申請することになりますし、複数の都道府県にまたがるのであれば大臣許可を申請するということになります。

 

営業所には経営業務の管理責任者(本店)又は令第3条の使用人(本店以外の営業所)が常勤していること、専任技術者が常勤していることが必要です。

 

なお、許可取得に関しては知事許可の方が早く、知事許可では県によって違いますが、申請受理後30日から45日程度で許可がおります。大臣許可野場合申請受理後120日というのが標準処理期間となっています。

2.建設工事の現場は日本全国でできる?

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営業所が1か所なのか、複数あって都道府県にまたがるのかで、大臣許可か知事許可かの違いになってきますが、請負った工事の施工場所とはまったく関係ありません。知事許可の場合に、許可を受けた都道府県以外でも工事を施工できます。たとえば東京都知事の許可で、東京都以外の県で施工しても問題ありません。また、工事の請負金額にも大臣許可と知事許可で差はありません。

3.営業所の意味・要件

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ここで、営業所とは、「本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約の結を行う事務所」です。
「契約を締結する」とは、見積り、入札、請負契約書の締結(注文請書の作成も含まれます)を実態として行うことです。
※契約書上の名義が営業所の代表者であることを問うものではありません。
(実態として契約を締結している営業所において、本社にいる社長の名での契約書を作ってもよいということになりますが、しかし、実際には、その営業所において建設工事の請負契約を締結したことをどのように証明するのかという点に注意が必要です。)

 

したがって、建設業に無関係な営業の事務所や、単に登記上の本店にすぎないもの、 単なる資材置き場や連絡所、現場事務所などは営業所には該当しません。しかし、当該営業所が直接的に営業業務を取扱わなくても他の営業所に指導監督するなど実質的に営業業務に関与している場合は建設業の営業所と判断されますので注意が必要です。
営業所とは、具体的には次の要件を備えているものをいいます。
・請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行なっていること
・電話、机を備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられていること
・経営業務の管理責任者又は令第3条の使用人が常勤していること
・専任技術者が常勤していること
許可申請においても、要件を満たすことを証する資料の提出が必要となります。

 

許可を受けていない一部の営業所に注意

建設業の許可を受けた場合に、他に許可を受けていない営業所がある場合には注意が必要です。つまり、建設業の許可を受けた場合には、その工事業種については、許可を受けていない営業所において、たとえ、建設業許可の不要な「軽微な工事」であっても、建設業の営業はできません。
例えば、東京に本店、神奈川県にK営業所があって大臣許可を受けている場合に、埼玉県にS営業所もあるという場合ですが、S営業所は許可を受けていないので、「軽微な工事」であったとしても、許可を持っている工事業種については、建設業を営業してはいけないということです。
許可を持っていない工事業種については、「軽微な工事」として営業できます。もちろn建設業以外の業務をするとは構いません。

4.知事許可から大臣許可、大臣許可から知事許可への変更

営業所として本店のみということで知事許可を取っていた会社が、他県に営業所を出すので知事許可から大臣許可にしたいというケースなのですが、知事許可から大臣許可へ変更という手続きはなく、「許可換え新規」といって、あくまで新規の申請扱いとなってしまい、あらためて大臣許可を新規で申請しなければなりません。
逆に、東京都と神奈川県に本店と営業所があって大臣許可を取っていた場合に、神奈川県の営業所をやめるというケースでは、やはり、「許可換え新規」で、あらためて知事許可を新規で申請しなければなりません。
ただし、東京都に2か所の営業所を持っていて、両方とも建設業許可を取っている場合は、知事許可を取っていることになりますが、営業所を1か所を廃止したいというな場合や、さらに都内に営業所を増やしたいというような場合は、営業所の廃業や新設の届出を行うことで対応できます。

 

営業所毎に異なる許可業種の許可を見持っている場合には、さらに複雑な注意点があります。興味のある方は、営業所の要件の記事で解説していますので、併せてお読みください。

 

まとめ

・2つ以上の都道府県に営業所があれば大臣許可、そうでなければ知事許可と自動的に決まる。
・大臣許可と知事許可で工事できる地域、工事額に違いはない。
・知事許可から大臣許可、大臣許可から知事許可への変更は「許可換え新規」になる。
・許可までの期間が、知事許可は申請受理から約1ケ月程度、大臣許可は約3ケ月とかなり違う。
大臣許可と知事許可の違いについて解説してきました。

 

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