建設業許可が必要な工事について解説!

建設業許可

建設業とは、「元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請負う営業」をいいます。建設業を営もうとする者は、「軽微な工事」を除き、全て許可の対象となり、建設業の種類29業種ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受ける必要があります。個人、法人、元請、下請に関係なく許可が必要です。それでは、その内容を詳しく解説していきたいと思います。「この業務を請け負うためには建設業許可が必要なのか?」「建設業を20年以上もやってきているが許可取得に必要な実績と認められるのか?」といった疑問がある方に参考になる記事となっています。

許可が必要な工事

以下AまたはBに該当する場合は、建設業の許可が必要になります。
A.建築一式工事以外の建設工事
  1件の請負代金が500万円以上の工事(消費税込み)
B.建築一式工事の場合は、以下のいずれかに該当するもの

(1) 1件の請負代金が1,500万円以上の工事(消費税込み)
(2) 木造住宅で延べ面積が150u以上の工事
  (主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

 ※金額には消費税及び地方消費税を含みます。
 ※「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいいます。
なお、請負代金の額の算定においては、さらに下記の2点に注意しておいてください。
@一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額と
  なります。(工事現場や工期が明らかに別である等、正当な理由に基づく場合を除く)
A 注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請
  負代金の額に加えたものが上記の請負代金の額となります。
なお、 建設業法の適用は日本国内であるため、外国での工事等には適用されません。

 

1.建設業(建設工事)に該当するかどうかも確認しましょう

電気工事現場
上記のように、請負う金額によって許可が必要になってきます。これらの金額未満であれば許可はいりません。
しかし、そもそも、建設業(建設工事)に該当しない仕事であれば許可は不要ですし、あるいは許可が必要だとなって、例えば、建設業を15年やってきて建設業の許可を取りたいと考えたときに、その経験で許可要件を満たせるかどうかという問題にぶつかることが多いんです。15年という年数だけみると、経験は一見、十分だと考えられますが、しかし、自分ではこれは建設工事だと思っていても、実は、建設工事とは言えない、あるいは建設業には該当しないという契約・業務が多数あったら要件を満たせないということになってしまうこともあるのです。
また、工事経歴表、や完成工事高という工事の実績表を作成する必要があるのですが、ここには、建設業あるいは建設工事に該当しない業務を含めてはいけません。建設工事に該当しない業務は、完成工事高には計上せず、「兼業売上高」に計上することになります。(なお、これは許可を取得した後、経営事項審査を受ける場合も同様です。)受注した件名が「○○工事」だから、請求書の件名が「○○工事」だから当然工事だろう、となるわけではなく、業務の内容で判断します。
建設現場では元請、下請の業者が様々な関連業務を行いますが、それら全てが「建設工事」に該当するとは限りません。
建設業許可が必要な工事かどうかを考えるに当たっては、建設業を営業しているかがポイントで、そうであれば「軽微な工事」を除いて許可が必要となるわけですので、建設業の営業とはどのようなことなのか、逆にそうでない業務とはどのようなものなのかを解説します。

 

2.建設業とは

建設業とは、「元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請負う営業」をいいます。(建設業法第2条第2項)


建設業を営もうとする者は、「軽微な工事」を除いた全ての建設工事が許可の対象となり、建設業法で定められた29業種ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受ける必要があります。
ここで、しっかりおさえておきたい4つのワードを解説していきたいと思います。
(1)「元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず」
(2)「建設工事」
(3)「完成を請負う」
(4)「営業」

2-1.「名義を問わず」とは?

元請か下請といった名称・立場によらないだけでなく、さらに「その他いかなる名義をもってするかを問わず」と続くのですが、この意味は、例えば、契約書・注文書、代金請求書での名称(名義)が〇〇工事というように工事という用語を使っているかどうかに関わらないということです。逆に、発注者から「草刈工事」や「道路清掃工事」、「点検工事」など工事という名称で発注されたものであっても、作業の内容が単に、草刈り、道路の清掃や点検だけの作業だけなのかどうか、その実態で判断されるということです。草刈り、道路の清掃や点検だけの作業は建設工事には該当しません。

 

元請・元請負人・下請負人とは?
一般に、「元請」は施主(建設業法では施主を「発注者」といいます)から直接工事を請負う場合を言いますが、建設業法では、元請負人、下請負人という用語が出てきますが元請と元請負人は意味が違います。元請負人とは、下請負人に対する注文者という意味合いで、重層構造的に一次下請けは、下請負人であると同時に二次下請けに対する元請負人でもあるということになっています。
また、元請負人は、「建設業者であるもの」となっており、つまり建設業の許可を受けているものであるということで、許可を受けていない場合は元請負人とは言いません。「元請」という用語は、建設業法で使用されているのかというと、「建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。(第二条)」と、建設業の定義で使用されていますが、建設業や建設業者のような用語の定義はありません。この条文での元請とは、いわゆる「元請」の意味と解されます。建設業法では、「元請」という意味では、他に「発注者から直接請け負う」というように示されています。
ちなみに国土交通省の資料にも「元請」という用語は使用されており、施主(施主を発注者といいます)から直接工事を請負う場合を指します。
ということで、建設業法を読む際は、いわゆる「元請」と元請負人は意味が異なるので注意しましょう。

建設業の元請下請の区分

 

2-2.「建設工事」とは?

それでは、建設工事とは何なのかということですが、建設業法では「建設工事」について、以下のように規定されています。

「建設工事とは、土木建築に関する工事で別表第1の上欄に掲げるものをいう」(建設業法第2条第2項)

この別表第1では、次のように2種類の一式工事と27種類の専門工事が示されています。建設工事の具体的な内容や例示は通達や告示で示されています。

@一式工事の種類
 1.土木一式工事  2.建築一式工事

 

A専門工事の種類

1.大工工事
2.左官工事
3.とび・土工・コンクリート工事
4.石工事
5.屋根工事
6.電気工事
7.管工事
8.タイル・れんが・ブロック工事
9.鋼構造物工事

10.鉄筋工事
11.舗装工事
12.しゅんせつ工事
13.板金工事
14.ガラス工事
15.塗装工事
16.防水工事
17.内装仕上工事
18.機械器具設置工事

19.熱絶縁工事
20.電気通信工事
21.造園工事
22.さく井工事
23.建具工事
24.水道施設工事
25.消防施設工事
26.清掃施設工事
27.解体工事

これらの工事の内容とその例示については、建設工事の種類の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

2-3.「完成を請負う」とは?

「完成を請負う」とは、どのような意味を持つのでしょうか。「請負」の意味は民法で以下のように規定されています。

請負は、一方がある仕事を完成することを約束し、相手方その仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法第632条)

例えば、不動産業者が顧客の発注にもとづいて施工するのではなく、建売住宅を自ら施工して販売する場合は、自社で販売する建売住宅であるため、相手方から「請負う」とはいえないので、「建設業」に該当しません。また、いわゆる「人工(にんく)出し」「常用工事」は、建設工事の完成を請負ったとはいえませんので、建設工事の請負契約とはみなされません。
※常用(常傭)工事: 一日工事に参加するといくらもらえるかという業務委託契約。単価契約。
このように、完成を請負う契約といえない場合は、「建設業」に該当しません。

2-4.「営業」とは?

「営業」とは、利益を得ることを目的つまり営利目的をもって、同種の業務を継続的に行うことをいいます。なお、営利目的ですので、実際にその目的が実現されるか(利益を得たか)は問わないわけです。利益が得られなくても利益を得る目的の契約をすれば営利目的となります。
自家用の建物や工作物を自ら施工するような場合は、営業には当たりませんので「建設業」には該当しません。
下請けに委託する場合
では、機器の据付工事を下請けに委託する場合はどうでしょうか?
実際に現場で工事を行うのは下請けだから、自分は建設業とはならないのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。建設業とは、「建設工事の完成を請負う営業をいう」ので、現場に出なくても、建設業を営む者と解されますので、現場作業を下請に委託するとしても建設業許可が必要となります。

3.建設業許可が必要な工事

建設業法では、建設業を営もうとする者は、「軽微な工事」と「附帯工事」を除き、全て許可が必要です。まず「軽微な工事」ですが、これは以下のような内容になります。

3-1.軽微な工事とは

軽微な工事とは、以下のように、工事1件の請負代金の額で決められています。「建築一式工事」の場合とそれ以外の場合で条件が異なります。

(1) 「建築一式工事」の場合

工事1件の請負代金の額が、@1,500万円未満の工事またはA延べ面積が150u未満の木造住宅
(@、Aのいずれか一方を満たす場合)

(2) 「専門工事」の場合
 工事1件の請負代金の額が、500万円未満の工事

 

 ※金額には消費税及び地方消費税を含みます。
 ※「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいいます。

※「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するものをいいます。

つまり、建設業の許可がなくても、上記のような「軽微な工事のみ」を行うのであれば工事を請負うことができます。工事1件の請負代金の額が500万円以上の工事を請け負う場合には、建設業許可が必要ということになります。ただし、建築一式工事の場合は工事1件の請負代金の額が1,500万円以上の場合(木造住宅の場合は、請負代金の額が1,500万円以上で、さらに延べ面積150u以上である場合)に許可が必要になります。

附帯工事とは

もうひとつ、軽微な工事の他に、建設業の許可を受けずに行うことができる建設工事として附帯工事があります。附帯工事とは、以下のような工事をいいます。
@ 主たる建設工事を施工するために必要な他の従たる建設工事
 (例)・屋根工事における塗装工事、管工事における熱絶縁工事等
A 主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではない工事
 (例)・電気工事の施工により生じた内装仕上工事
    ・建具工事の施工により生じた左官工事等
なお、附帯工事の金額が主たる建設工事の金額を上回ることは原則としてありません。
附帯工事を行うには、建設業の許可は要りませんが、附帯工事が「軽微な工事」以上となる請負金額の工事である場合には、施工業種の専門工事許可を持つ業者に下請に出すか、自社で施工するのであれば工事現場に施工業種の専門技術者を配置しなければなりません。
注)専門技術者とは、主任技術者と同じ資格または実務経験を持つ方になります。

 

附帯工事については、附帯工事の注意点の記事で詳しく解説していますので、御参照ください。

 

建設業法上、工事業種は29業種に分類されており、この中に一式工事は建築と土木の2種類ありますが、建築一式工事だけは許可を要否を決める工事1件の請負代金の額の条件が異なっているのですが、建築一式工事とは、「原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事」ということですが、簡単にいうと、一棟の戸建て等の新築または大がかりな増改築を元請で受注して施工は複数の下請に委託する場合です。東京都では、さらに具体例として「建築確認を要する新築または増改築」と示されています。

3-2.請負金額の考え方

建設業専任技術者のイラスト
A.分割発注で1件当たり500万円未満になっている場合

注文書を分けたとしたとしても、軽微な工事なのか否かの判断につきましては、正当な理由が有る場合を除き、その合計額で判断します。
正当な理由としては、工事現場や工期が明らかに別であるなどがあります。

B.発注者(施主)や元請から工事材料を支給してもらった場合

発注者(施主)や元請が材料の提供を行う場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた金額で、軽微な工事なのか否かが判断されます。

3-3.一式工事の元請・下請の関係

建築一式工事と土木一式工事は、原則として元請が行う工事です。元請が建築一式工事を請負った場合に、その1件の請負金額が1,400万円であった場合は、上記の軽微な工事の条件に合致しますので、この元請は建設業の許可は不要です。そしてその元請が下請会社に対して、それぞれ500万円で下請に出した場合は、下請会社は建設業許可は必要でしょうか?
下請会社が行う建設工事は、通常は建築一式工事ではありません。何になるかといえば、例えば、大工工事や、左官工事、とび・土工工事、内装仕上工事などです。
大工工事などの専門工事の業種で許可が必要な条件は、1件の請負金額が500万円以上の工事ですから、この場合、下請会社は建設業許可が必要ということになります。下請会社に建設業許可が必要なのに、元請は許可が不要というのは何かおかしな気がするかもしれませんが、こういうことも起き得るんですね。

4.建設業(建設工事)に該当しない業務の例

ここまで、建設業許可が必要となる建設業について解説してきましたが、ポイントとなるのは、
@建設工事であること
Aその完成を請負っていること
B営業(営利目的)であること
C「軽微な工事」でないこと
D名義ではなく実態として業務の内容で判断すること
の5つです。
従いまして、契約書の名称などの名義によらず実態として、建設工事ではない、建設工事を行っていても完成を請負っていない、営利目的ではない、というような場合は、建設業に該当しないので建設業の許可は不要ということになります。そして、逆にいうと、建設業の経験としては認められないということでもあるのです。軽微な工事しか行わないのであれば建設業の許可は不要ですが、許可を申請する際、軽微な工事も建設業の経験として当然、認められます。(勿論、実態として建設工事の完成を請負っており、営業(営利目的)であることが必要です)

4-1.建設業に該当しない例

最後に建設業(または建設工事)に該当しない業務を例を示したいと思います。
建設工事であるかどうかは、29の工事業種の内容に該当するかで考えればよいのですが、実は、そもそも工事とは?ということまで考える必要も出てきます。
しかし、建設業法には「工事」の定義はありません。そこで、「工事」の定義も考えながら整理してみたいと思います。
建設工事の営業に該当しない例を3つ挙げてみます。
1.自家用の建物や工作物を自ら施工する場合
2.他の官公庁から委託を受け官公庁が施工する場合
3.不動産業者が施主の発注によるのではなく、自ら施工する建売用住宅の建築

 

1.及び2.のケースは、自家用であったり、官公庁の委託であるので、営利目的とはいえず、「業として」や「営業」ではないため「建設業」に該当しません。
3.のケースは、自ら施工するので、建設工事の完成を請負う営業ではありませんので「建設業」には該当しません。

4-2.建設工事に該当しない例

建設工事に該当しない作業の例の現場写真
・樹木の伐採、剪定、草刈り
・道路清掃
・建設現場への労働者派遣(例:工事現場の警備、人工・常用工事)
・建築物・工作物の養生(換気扇にビニールをかぶせる、窓にシートを張るなど)や洗浄
・道路・緑地・公園・ビル等の清掃・管理
・電球などの消耗部品の交換
・施設・設備・機械などの保守・点検
・調査、測量、設計(例:土壌試験、ボーリング調査を伴う土壌分析、家屋調査等)
・据付けなどをおこなわない建設資材(生コン、ブロック等)、機材、土砂などの運搬・運送
・船舶や航空機など土地に定着しない工作物の建造・築造
・トラッククレーンやコンクリートポンプ車リース
以上の業務は建設業法における「建設工事」には該当しません。29業務のどれにも該当しないからです。
ただし、例えば、観測や測定、調査以外の目的の掘削であれば、とび・土工・コンクリート工事に該当する可能性があります。
トラッククレーンやコンクリートポンプ車リースであっても、オペレータ付きリースは建設工事に該当します。

4-3.そもそも「工事」ではない例

そもそも「工事」に該当しないもの
船舶や航空機のように土地に定着していないもの(動産)の築造や建造は、そもそも建設工事ではありません。これらの内部の電気配線、給排水設備、空調設備、内装などの工事は、作業の内容としてみると「電気工事」、「管工事」、「内装仕上工事」の内容・例示に記載されているものに該当すると思いますが、そもそも建設工事ではありません。その理由は、建設業法には明確に示されているわけではないのですが、また国土交通省の諸資料にも無い(弊職が知る限りですが)のですが、以下のように、日本標準産業分類の中に建設工事の定義といえるものがありますので、「工事」であるのかどうかは、建設業法に示されていなくても、そもそも論として理解すべきということでしょう。

【日本標準産業分類】
大分類D−建設業
総説
この大分類には,主として注文又は自己建設によって建設工事を施工する事業所が分類される。
ただし,主として自己建設で維持補修工事を施工する事業所及び建設工事の企画,調査,測量,設計,監督等を行う事業所は含まれない。
建設工事
建設工事とは,現場において行われる次の工事をいう。

(1) 建築物、土木施設その他土地に継続的に接着する工作物及びそれらに附帯する設備を新設、改造、修繕、解体、除却若しくは移設すること。
(2) 土地、航路、流路などを改良若しくは造成すること。
(3) 機械装置を据え付け、解体若しくは移設すること。

土地そのものや、土地に定着する工作物が建設工事の対象物となると考えることができます。そしてそれらの(それらに対する)新設、改造、修繕、解体、除却、移設、改良、造成や機械装置の据え付け、解体若しくは移設を工事という、と解釈できるのではないでしょうか。
従って、船舶や航空機の建造・製造においては、土地に定着する工作物ではないので、そこで建設工事と類似の作業が行われたとしても、それらは「建設工事」ではないということになるのです。

5.建設工事の請負契約とみなす場合とは?

建設業法には、建設工事の請負契約とみなす場合の規定があります。

委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。(建設業法第24条)

これは、実質的報酬を得て建設工事の完成を目的とするのであれば、委託、派遣などの契約名義であっても、建設業法を適用される(つまり、建設業の営業に該当する)ということです。例えば、売買契約と請負契約の混合であるような製作物供給契約により建設工事を行い、完成させる場合も建設業法が適用されると解釈すべきです。
いわゆる建物の建売業者と称する場合であっても、実質的に請負契約である場合は、建設業法が適用される、つまり建設業の営業とみなされることがあるということになります。
それでは、人工(にんく)出しや常用工事はどうでしょうか。これも建設工事には該当しないとされるものですが、このみなし規定に該当しないのでしょうか?
みなし規定に該当し建設業(建設工事)に該当するのではないかとの解釈も有り得るかもしれませんが、一般にはそのように解釈されていません。
A社という下請業者が自社の従業員を元請B社の建設現場に送り込み、他社であるB社の現場監督者の指揮命令のもとに労働力を提供させることは、「労働者派遣」とみなされます。建設工事への労働者派遣は法律で禁止されており、労働者派遣法又は職業安定法違反になります。
ただし、紛らわしいのですが、A社が、1人工(にんく)いくら、といったいわゆる常傭(常用)契約で工事を請け負っていても、自社での体制をきちんと作って現場での指揮命令や裁量権をもって施工していれば、建設工事の請負に当たります。(そうはいっても実態として人工出しと判断されてしまう可能性もあるので慎重な判断が求められるところです)
しかし、この人工(にんく)での施工が、建設業許可の要件としての経験として認められるかはまた別の問題です。東京都では、人工(にんく)契約は、経営業務の管理責任者の経営経験とは認められませんが、専任技術者の実務経験としては認めてくれます。経営(つまり請負の契約をしたり代金の請求をしたりという業務)の経験にはなりませんが、現場で施工の作業(実務)をしていることには違いありませんからね。

6.軽微な工事なのに建設業許可が必要なケースとは?

これまでの説明のとおり、建設業の許可がなくても「軽微な工事のみ」であれば工事を行うことはできます。これはまったく許可を持っていない場合においては、そのとおりなのですが、建設業の許可を受けた後では話しが変わってきます。軽微な工事であっても、建設業許可を受けていないと請け負えないケースが出てきますので、始めて許可を申請する際には、このようなケースも知っておかないと危険です。単純に「軽微な工事のみ」だから許可はいらないと思っていると知らないうちに違反をしていたということになりかねません。
詳しく知りたい方は「軽微な工事のみ」でも建設業の許可が必要な場合とは?を参照ください。

7.建設業許可に関連して知っておきたいこと

ここでは、許可と直接関連はないのですが、知っておきたいことを解説します。

 

1. 外国の工事は対象外
建設業法の適用は日本国内のみであるため、外国での工事には適用されません。

 

2. 登録・届出が必要な建設工事
次の@〜Bの場合には、都道府県への登録・届出が必要な工事業です。
建設業許可が必要のない「軽微な建設工事」しか請け負わないとしても、登録・届出が必要です。

 

@ 解体工事業
A 電気工事業
B 浄化槽工事業

 

3. 公共工事の元請になるには
なお、公共工事の入札参加をお考えの建設業者様も多いと思いますが、この場合には建設業許可を受けた上で、さらに経営事項審査を受ける必要があります。
国、地方公共団体等の発注に係るいわゆる公共工事においては、一般競争入札が一般的になっています。一般競争入札においては、入札参加者の選定においてより客観性、厳格さが要求されることとなりますので、従来から活用されてきた経営事項審査が平成6年より義務付けられています。
経営事項審査については、こちらの経営事項審査とはで詳しく解説しています。


まとめ

建設業法上の「建設業」「建設工事」に該当しなければ、業務を請け負う場合でも、そもそも建設業許可を取得する必要はありません。
また、建設業許可を取得するうえで必要となる実績として認められません。
このような判断をおこなうためには、請け負った業務が「建設工事」かどうか慎重に判断する必要がありますが、「建設工事」に該当するかどうかは、実際の業務内容を慎重に判断する必要があります。

 

 

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