兼業がある場合の注意点

建設業,許可
建設工事業のほかに事業を行っている会社も少なくないですが、このような建設業以外の兼業がある場合は、建設業許可の取得などの申請の際に、いくつかの注意点があります。建設工事の完成を請負うものではない営業は、「建設業」ではなく兼業事業になります。例えば、工事のほかに施工の設計も行っているケースや建設工事に当たらない設備の保守・点検、建設資材の販売など建築資材のメーカーや商社、仮設資機材のリース会社等が材工一式の形で建設工事の請負う場合も建設工事以外は兼業として扱われます。
兼業かどうかは売上の割合の多寡ではなく、あくまで建設業に該当するものが本業であり、それ以外は兼業という扱いになります。
この時期では、兼業の扱いと注意点について解説していますので、これから建設業許可を取りたい方などに役立つ内容になっています。

兼業となる業務の例

兼業となる業務としては、大きく分けて「建設工事の営業に該当しない」場合と「建設工事に該当しない場合」があります。
まず、建設工事の営業に該当しない例を3つ挙げてみます。

1.自家用の建物や工作物を自ら施工する場合
2.他の官公庁から委託を受け官公庁が施工する場合
3.不動産業者が施主の発注によるのではなく、自ら施工する建売用住宅の建築

1.及び2.のケースは、自家用であったり、官公庁の委託であるので、営利目的とはいえず、「業として」や「営業」ではないため「建設業」に該当しません。
3.のケースは、自ら施工するので、建設工事の完成を請負う営業ではありませんので「建設業」には該当しません。
建設業,許可,兼業,建設工事に該当しない
次に、.建設工事に該当しない例を以下に示します。

・樹木の伐採、剪定、草刈り
・道路清掃
・建設現場への労働者派遣(例:工事現場の警備、人工・常用工事)
・建築物・工作物の養生(換気扇にビニールをかぶせる、窓にシートを張るなど)や洗浄
・道路・緑地・公園・ビル等の清掃・管理
・電球などの消耗部品の交換
・施設・設備・機械などの保守・点検
・調査、測量、設計(例:土壌試験、ボーリング調査を伴う土壌分析、家屋調査等)
・据付けなどをおこなわない建設資材(生コン、ブロック等)、機材、土砂などの運搬・運送
・船舶や航空機など土地に定着しない工作物の建造・築造
・トラッククレーンやコンクリートポンプ車リース

以上の業務は建設業法における「建設工事」には該当しません。建設業法で示されている29業務のどれにも該当しないからです。

工事と兼業を分ける必要性

このような兼業業務については、見積書・請負契約書又は注文書・請書、代金請求書作成時にも、工事費用を分けて作成・記載しておかないと、以下のような申請手続きの際に工事の実績がいくらなのかを証明できなくなってしまいますので、日頃からの注意が必要です。

1.新規に建設業許可を取得する場合
2.建設業許可を受けており、毎年の決算報告書の届出を行う場合や更新を行う場合
3.経営事項審査を受ける場合

いずれの申請・届出においても、工事経歴書、直3年完成工事高、財務諸表が必要になりますが、工事経歴書、直3年完成工事高は、名前のとおり工事の実績ですので兼業を含めることはできません。また、財務諸表は、売上を工事と兼業を分けて記載する必要があります。税務申告用の財務諸表では、建設業とそれ以外の兼業の売上高等が分かれてない場合もあるかと思いますが、売上高については「完成工事高」と「兼業の売上」とに分けなければなりません。

兼業での経験は認められない

経営業務の管理責任者や専任技術者の経営の経験や実務経験(実務経験の証明が必要な場合)においては、兼業事業の経験は、建設業許可を受ける要件として認められません。建設業の経験を立証する見積書・請負契約書又は注文書・請書、代金請求書が必要になりすが、工事部分が明確になっていなければ認められません。

経営業務の管理責任者としての経験

建設業許可の申請では、許可要件である技術的な資格要件以外に経営者としての経験を証明できるもの(見積書・請負契約書又は注文書・請書、代金請求書と入金確認できる通帳など)について原本提示・写しの提出が求められます。・
「経営業務の管理責任者」としての経験とは、「建設業」で経営してきた期間が何年あるかということですが、兼業であるメーカーや商社、製造業など建設業以外の経営期間は含まれないことに注意が必要です。
特に、材工一式で請負う場合には、見積書・請負契約書又は注文書・請書、代金請求書において、機械装置の搬入・設置について、据付(工事)費用が明確に記載されていなければ建設工事として認められませんので注意が必要です。また、上記の建設業の営業に該当しない業務や建設工事に該当しない業務は、兼業の扱いですので実務経験として認められないので、含めてしまわないように注意してください。

専任技術者としての実務経験

「専任技術者」の要件は、許可を受けようとする業種に対応する国家資格等を有する者がいれば、特に経験年数は要求されませんが、実務経験で証明する場合には、これも「建設工事」をやってきた期間の年数です。
特に、材工一式で請負う場合には、見積書・請負契約書又は注文書・請書、代金請求書において、機械装置の搬入・設置について、据付(工事)費用が明確に記載されていなければ建設工事として認められませんので注意が必要です。また、上記の建設業の営業に該当しない業務や建設工事に該当しない業務は、兼業の扱いですので実務経験として認められないので、含めてしまわないように注意してください。
(人工の常用工事については、都道府県によって違いがあるかもしれませんが、例外的に専任技術者としての実務経験として認めてくれます。)

虚偽申請に注意

経営事項審査では、完成工事高の配点が大きいので、兼業事業の売上を誤って完成工事高に入れて申請してしまうと虚偽の申請と判定される可能性もありますので注意が必要です。

まとめ

建設業許可を取得するには「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の要件で過去の実績が必要とされますが、建設業に該当しない業務は実務経験として認められません。建設工事の実績を無駄のないよう効率的に継続して、また見積書、請求書などの書類いおいて明確に証明できるかということが重要になってきます。

 

 

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