社会性等の評価Wについて

社会性等の評価Wは、建設業者が社会的な責任を果たしているかなどを評価するもので、労働福祉の状況(W1) 、営業継続の状況(W2) 、 防災活動(W3) 、法令遵守の状況(W4) 、 建設業経理の状況(W5) 、研究開発の状況(W6) 、建設機械保有の状況(W7) 、国際標準化機構登録の状況(W8) 、若年技術者育成確保状況(W9) の点数の合計で評価されます。

評点W = (W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×0.95
  ※小数点以下は切り捨て

総合評点Pに占める割合は15%です。またマイナス点となる項目がありますので、総合評点P全体の評価を引き下げる影響が強くなっています。
社会性等の評価Wは、計算値がマイナスのとき0点として扱われていましたが、 平成30年4月改正では、この最低点0点をなくして、 マイナス点をそのまま総合評点Pの算出に使用します。 社会保険未加入や建設業法違反への減点措置の厳格化を目的としています。 この変更によって、総合評点Pの計算上の最低点は−18点になります。

 

労働福祉の状況W1について

次の6つについて評価されます。
雇用保険、健康保険および厚生年金保険は、加入義務不履行の場合に減点評価されます。
建設業退職金共済制度(建退共)、退職一時金制度あるいは企業年金制度、法定外労働災害補償制度については加入、対応している場合に加点評価されます。
1.雇用保険 
労働者が1人も雇用されていない場合など加入義務がなければ減点なし。(0点として計算)
2.健康保険 
法人、従業員5人以上の個人は強制加入。加入義務がなければ減点なし。(0点として計算)土建国保は適用対象外のため減点なし。
3.厚生年金 
法人、従業員5人以上の個人は強制加入。加入義務がなければ減点なし。(0点として計算)
4.建退共(日雇い)  
加入だけでなく、元請工事に応じた証紙購入が必要です。
5.1)退職一時金 
勤労者退職金共済機構か特定退職金共済団体の加入証明書、共済契約書が必要です。
(あるいは、労働協約、就業規則でその定めがあるもの)
  2)企業年金  
厚生年金基金の加入証明書が必要です。(確定拠出年金でもよい)
6.法定外労災補償制度
法定外労災補償制度は、政府の労災保険加入を前提として、その上積み制度です。
政府の労災保険加入を前提としているので、政府の労災保険に加入していないのに、法定外労災補償制度に加入しても評価されません。
  ・(公財)建設業福祉共済団
  ・(一社)建設業労災互助会
  ・ 全日本火災共済協同組合連合会
  ・(一社)前後句労働保険事務組合連合会
  ・ 民間保険
  これらには、以下の要件を満たすことが必要です。
   ・業務災害、通勤災害を担保していること
   ・直接雇用者と下請の直接雇用者を対象としていること
   ・死亡、障害等級1級から7級まですべて担保していること
   ・すべての工事現場を対象としていること
   ・基準日に契約締結していること
   ・法定の労災保険に加入していること
配点は下表のようになっています。

保険制度等 未加入時の配点 加入時の配点
雇用保険 -40点 0点
健康保険 -40点 0点
厚生年金保険 -40点 0点
建設業退職金共済制度(建退共) 0点 15点
退職一時金制度もしくは企業年金制度 0点 15点
法定外労働災害補償制度 0点 15点

 

営業継続状況W2について

建設業許可取得後の営業年数により、31の区分により評点が決まります。最大は35年以上の営業年数の場合に60点、20年で30点、10年で10点、最小は5年以下で0点で、営業年数が1年増える毎に点数が2点アップします。
営業年数の計算には以下のような注意点があります。
・1年未満の端数は切り捨てます。
・休業期間や許可切れ期間は含めることはできませんので、このような期間がある場合はその1年分が引かれることになります。
・建設業許可のない期間は対象になりません。
・法人成りの場合は、個人の期間(建設業許可取得後の期間)を通算できますが、営業の同一性確保、個人が新法人の代表取締役および支配株主でかつ経管(経営業務の管理責任者)であること、個人の建設業許可有効の間に法人の建設業許可申請していることが必要です。
・民事再生法、会社更生法等の適用の場合

民事再生法、会社更生法適用の再生企業は、営業年数評点は0にリセットとなります。 
また再生・更生期間中の場合は、減点評価(−60点)となり、再生・更生手続き完了後に営業年数評点は0にリセットとなります。
このような減点措置などは、平成23年に創設されたものですが、再生・更生企業に対しては、厳しい評価を行うものとなってます。

 

防災活動W3について

国、地方公共団体、特殊法人等との防災協定書を締結している場合に加点されます。一般的には国、地方公共団体などとその区域、施設に災害が起こった場合に、官民共同で協力体制を整え、優先的に応急工事を行う内容となっています。官公庁と防災協定を締結している建設業者団体に加入していれば加点評価となります。
この場合、単に建設業者団体に加入していることだけでなく、防災活動に一定の役割を果たすことが確認できなければなりません。加入証明書に役割が記載されているか、活動計画書、緊急連絡網などの書類が作成されていることが必要です。
兼業の場合、兼業での防災協定でもよい場合があります。
なお、防災協定締結時の加点は、平成30年の改正で15点から20点にアップされています。やはり防災協定へのインセンティブになっています。単独で防災協定締結が難しい場合は、官公庁と防災協定を締結している建設業者団体に加入することをご検討されるといかがでしょうか。

項目 有りの配点 無しの配点
防災協定締結 20点 0点

 

法令遵守W4について

審査対象となる年度内に、建設業法に規定される指示処分、営業停止処分を受けた場合に、減点評価するものです。

法令遵守状況 配点
指示・処分無し 0点
指示処分 -15点
営業停止処分 -30点

 

経理の状況W5について

経理の状況は、監査の受審状況と公認会計士等の数で評価されます。
経理の状況(W5) = 監査の受審状況の評点 + 公認会計士等数の評点

 

1.監査の受審状況
監査の受審状況は、以下の場合に加点されます。

監査の受審状況 配点

会計監査人の設置
(財務諸表に対し、「無限定適正意見」または「限定付適正意見」を表明している場合。有価証券報告書または監査報告書の写しで確認)

20点

会計参与の設置
(会計参与が「会計参与報告書」を作成している場合。会計参与報告書の写しで確認)

10点

経理責任者の自主管理
(社内の経理責任者が、「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」について適正に処理をしたことを確認し、「経理処理の適正を確認した旨の書類」に署名捺印している場合。)
※社内の経理責任者とは、常勤職員である公認会計士、税理士、これらになれる資格を有する者又は登録経理試験の1級合格者です。

2点
無し 0点

 

2.公認会計士等の数
常勤の役職者のうち、公認会計士、税理士などの一定の有資格者の数に応じて評点が加点されます。
これら公認会計士等にカウントできる者に対して、一人当たりに付与される点数が決められており、カウントできるものの合計値を計算し、次の表の年間平均完成工事高に応じて評点が算出されます。一人当たりに付与される点数の合計値が同じであっても、年間平均完成工事高が大きいほど、評点は低くなっており、相対的な評価になっています。年間平均完成工事高が大きくなれば、相応の会計能力を求められるということだと思います。

 

資格の種類 1人当たり付与される点数
公認会計士、会計士補、税理士、有資格者、建設業経理士試験1級 1点
建設業経理士試験2級 0.4点
無し 0点

 

年間平均完成工事高に対する評点は、年間平均完成工事高の区分は6つ、公認会計士等の数の区分は6つと、合わせて36の区分に分かれています。
評点は、これら36の区分に対して0点、2点、4点、6点、8点、10点となります。
例として、年間平均完成工事高が10億円未満の場合の評点は以下のようになります。

年間平均完成工事高 1人当たり付与される点数の合計 「公認会計士等の数」の配点
1億円未満 0点 0点
0.4点 以上 100点
1〜10億円未満 0点 0点
0.4 〜 0.8点 未満 60点
0.8 〜 1.2点 未満 80点
1.2点 以上 100点

 

公認会計士等の数の評点アップは、公認会計士、税理士等の有資格者を雇用するよりは、経理部門の職員に建設業経理士資格を取得させるほうが現実的ではないでしょうか。

 

研究開発の状況W6について

研究開発の評価は、会計監査人設置会社のみが対象ですので、大部分の中小企業は対象外です。。
研究開発の状況では、審査対象年とその前年の2年平均の「研究開発費」の額が評価されます。
「研究開発費」の額により、26に区分されており、評点は0〜25となっており、
 5,000万円未満・・・0
 1億円未満    ・・・1
と、1億円から20億円までは、1億円増えると1点増えるようになっており、最高点は100億円以上の25点となります。

 

建設機械保有状況W7について

 建設機械の保有状況は、審査基準日において、建設機械を自ら所有している場合または、審査基準日から1年7か月以上のリース契約を締結している場合に、その合計台数に応じて加点されます。経審で加点評価されるには、売買契約書などの証拠書類、カタログ、写真、自主検査の実施などが必要です。
平成30年4月改正で、1台につき加点1(最大15点)のところ、1台目は加点5となりました。最初の1台のみで大きく評価されます。
評価の対象となる建設機械は、ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、移動式クレーン、大型ダンプ、モーターグレーダーとなります。
なお、大型ダンプについては、従来は自家用(白ナンバー)のみが対象でしたが、現在は、営業用(緑ナンバー)も評価対象となっています。
これらの建設機械の台数に応じて、評点が決まります。
 0台・・・ 評点0点
 1台・・・   5点
 2台・・・   6点
以下、最大の15台以上の評点15まで1台増加ごとに1点加点されます。

 

国際標準化機構の登録状況(W8)

国際標準化機構の登録状況点数は、ISO9001, ISO14001に登録している場合に各5点加算されます(最高10点)。

登録対象 配点(登録あり) 配点(登録なし)
ISO9001 5点 0点
ISO14001 5点 0点

但し、この評価は認証範囲が建設企業全体である場合においてのみ評価され、 認証範囲に建設業が含まれていない場合及び認証範囲が一部の支店等に限られている場合には、加点されません。

 

若年技術者の育成及び確保の状況点数(W9)

若年技術者の育成及び確保の状況点数は、 若年技術者(35歳未満)の継続雇用と新規雇用について、 各1点加算されます。

若年技術者の育成及び確保の状況 配点
若年技術者(35歳未満)なし 0点
新規雇用の若年技術者(35歳未満)の人数が技術職員名簿全体の1%以上 1点
継続雇用の若年技術者(35歳未満)の人数が技術職員名簿全体の15%以上 1点

 

対応エリア

東京都区部:
足立区、荒川区、板橋区、江戸川区、大田区、葛飾区、北区、江東区、品川区、渋谷区、新宿区、杉並区、墨田区、世田谷区、台東区、中央区、千代田区、豊島区、中野区、練馬区、文京区、港区、目黒区
多摩地域:
昭島市、あきる野市、稲城市、青梅市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、羽村市、東久留米市、東村山市、東大和市、日野市、府中市、福生市、町田市、三鷹市、武蔵野市、武蔵村山市、奥多摩町、日の出町、瑞穂町、檜原村
が主な対応地域です。

 

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