外国人が建設業許可を取れますか?

このような御相談を受けることがありますが、外国人が建設業の許可をとれるのか?について解説します。

外国人が建設業の経営や実務に従事できる在留資格とは?

まず、中長期に在留する外国人の在留資格を確認しなければなりません。

外国人が役員や社員になる場合の在留資格

建設業許可の要件のうち、まず、経営業務の管理責任者と専任技術者をどうするのかという点です。

ケース1
外国人本人が会社の代表取締役で、経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たす者をそれぞれ配置する場合

この場合は、外国人本人は会社の経営者としての在留資格があればよいので、就労系であれば「経営・管理」、もしくは身分系の在留資格(「永住」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」)であることが必要です。必ずしも「永住」である必要はありません。
そして、建設業許可の要件としては、日本人の経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たす者を配置するので、外国人本人には、特段の要件は求められません。ただし、会社の代表者として許可申請時に、「身分証明書」を提出する必要がありますが、これは戸籍の無い外国人には取得できませんが、この場合は提出不要とされていますので、許可は受けることは可能です。

 

※この場合の注意点ですが、身分証明書と同様の主旨の書類として「登記されていないことの証明書」があります。

外国人であっても「登記されていないことの証明書」の提出は必要です。この取得に当たっては、外国人の場合、国籍の入った証明書を取得する必要があります。これにより身分証明書の提出が免除されます。

ケース2
外国人本人が会社の代表取締役で、外国人本人が経営業務の管理責任者と専任技術者になる場合

外国人(国籍が日本以外の外国籍の方)でも経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たしていることを証明できれば建設業許可を取得することが可能です。
「経営業務の管理責任者」は、@「常勤役員等であること」及びA「(簡単にいうと)建設会社での5年以上の役員経験」が必要ですので、会社の役員ですから、その外国人の在留資格(ビザ)としては、就労系であれば「経営・管理」、もしくは身分系の在留資格(「永住」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」)であることが必要です。
専任技術者として仕事をするためには、身分系の在留資格(「永住」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」)であることが必要です。
また専任技術者になるためには建設業許可要件として資格または一定の実務経験が必要なのですが、実務経験を積む場合も、同様に身分系の在留資格がないとその仕事を何年も行うことはできませんので実務経験として立証するのは難しいと思います。
ちなみに、建設工事の仕事をするための在留資格としては、下記のような方法もあると思いますが、専任技術者になるのは難しいと思います。
@留学、家族滞在の在留資格でアルバイトをする
 (あらかじめ入国管理局で 「資格外活動許可」を取得する事により、1週間28時間以内まで就労可能)
A技術・人文知識・国際業務の在留資格で、設計の業務を行う。
B技能実習生
 (実習期間終了後に特定技能に変更も可能ですが、そうでなければ帰国することになります)
C特定技能
 (建設業の従事が可能ですが、最大5年間です)
D技能
 (外国様式の建築・土木工事であれば可能)

外国での工事の経験で申請できる?

外国人が経営業務の管理責任者と専任技術者として建設業に従事するためには、在留資格があるだけでなく建設業法の要件を満たす必要が当然にあるわけですが、外国での工事の経営や実務の経験しかないという場合は、許可を取得できるのでしょうか?
建設業法では、建設業者に対し、一定の実務経験、学歴又は資格を有する者の中から、経営業務の管理責任者、営業所専任技術者を設置しなければなりませんが、これらの実務経験、学歴又は資格の要件は、原則として日本国内のものを前提に定められています。
しかし、次のような場合で、日本国内での実務経験、学歴又は資格のみでは経営業務の管理責任者、営業所専任技術者の所定の要件を満たさない場合でも、外国での実務経験、学歴又は資格を加味して要件を満たす者として取り扱うことができるようになります。

 

また、請け負った建設工事について主任技術者又は監理技術者それぞれ設置しなければなりませんが、この場合にも外国での実務経験、学歴又は資格を加味して要件を満たす者として取り扱うことができるようになります。
【考えられるケース】

(1)

外国での実務経験を有する者(日本人・外国人)を、常勤役員等(経営業務の管理責任者)、営業所専任技術者、現場配置技術者にしたい。

(2)

外国の学校を卒業した者(日本人・外国人)を、営業所専任技術者、現場配置技術者にしたい。

(3)

外国の資格(検定、免許など)を有する者を、営業所専任技術者(特定建設業)又は現場配置技術者にしたい。

この大臣認定の制度は、対象者は日本人、外国人を問わず、実務経験は日本企業、外国企業を問わないという制度となっています。

 

そして経営業務の管理責任者および専任技術者の要件のひとつとして、大臣特認というものがあります。常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管)等)については、「国土交通大臣が個別の申請に基づきイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者」、専任技術者(専技)についても、一般建設業も、特定建設業も「国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者」は要件を満たす者として認められます。これらの規定は、個別の申請に基づいて国土交通大臣が認定することを認めています。大臣特認は、外国での学歴、資格、実務経験(職務経験)等を建設業許可要件として申請する場合の方法となっています。これを、一般に大臣特認といっております。

 

 なお、建設業の経営に関する一定の経験として、経営業務の管理責任者以外の経験として以下の場合も認められるようになりました(令和2年の法改正)が、これらの場合において大臣許可を申請する場合には、許可申請前の国土交通大臣の個別認定が必要となっています。
・経営業務の管理責任者に準ずる地位」の経験
・経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験
・役員等に次ぐ職制上の地位
・建設業の財務管理・労務管理・業務運営についてそれぞれ業務経験5年以上の者
これらは、元々、令和2年の法改正により、建設業法施行規則第7条1号のイ、ロとして規定されている要件ですので、同号ハとして規定されている、前述の大臣特認とは別な個別認定です。

 

では、この大臣特認とはどのようなものなのでしょうか。
外国において取得した学歴、資格、実務経験(職務経験)等が日本における学歴、資格、実務経験(職務経験)等と同等であるとの検証を必要とするケースだということです。これは外国人だけでなく日本国籍を持つ日本人でも当てはまり、日本人であっても外国の学校を卒業していたり、外国において企業の役員をしていたというような場合は対象となります。逆に、外国人であっても日本の大学を卒業していたり日本の建設会社での実務経験がある等の場合は大臣特認の対象外となります。

経管と専任技術者の大臣特認について

外国での実務経験、学歴又は資格について国土交通大臣の個別認定を申請する場合の提出書類の参考例です。
(あくまで参考です。詳しくは、関東地方整備局にお問い合わせください)

 

1.外国語の書類については、和訳及び和訳の公証をする必要があります。
2.外国の経験と日本での経験を通算して申請する場合は、日本での経験に係る確認資料も提出する
  必要があります。

 

 公証とは?

国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ,私的法律関係の明確化,安定化を図ることを目的として,証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。認定申請の際には、外国語の書類及びその和訳書類につき、@署名又は記名押印の認証、A宣誓認証のいずれかの手続きが必要となります。

提出資料について

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)
A.規則7条1−イ(常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること)の場合
@ 認定申請書
A 認定を受けようとする者の履歴書
B 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(勤務先別)
C 役員就任・退任議事録又は会社登記簿謄本
D 会社組織図
E 建設工事を施工した契約書の写し(原則1年につき1件ずつ)
F 会社概要資料(パンフレット、建設業許可証の写し、会社登記簿謄本等)

 

B.規則7条1−ロ(建設業に関する経営体制を有する者)の場合
@ 認定申請書
A 認定を受けようとする者、補佐人の履歴書
B 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
C 役員就任・退任議事録又は会社登記簿謄本
D 補佐人に対する確認資料
E 会社組織図
F 建設工事を施工した契約書の写し(国内経験で許可業者であれば許可通知書)
G 会社概要資料(パンフレット、建設業許可証の写し、会社登記簿謄本等)

 

営業所の専任技術者
A.一般建設業
実務経験の場合
@ 認定申請書
A 認定を受けようとする者の履歴書
B 申請業種の関連学科を履修したことを示す卒業証明書(履修項目が確認できること)
  ※学歴をもとに申請しない場合は提出不要。
C 実務経験証明書
D 実務経験を積んだ契約書の写し又は発注者による証明書
E 会社概要資料(パンフレット、建設業許可証の写し、会社登記簿謄本等)

 

B.特定建設業
B-1.技術資格の場合
@ 認定申請書
A 認定を受けようとする者の履歴書
B 申請業種の関連学科を履修したことを示す卒業証明書
C 技術資格者証の写し
  ※外国の技術資格が特定の技術資格と同等であるかの個別判断をする必要があるため、
    技術資格を取得するための要件等を確認する資料が別途必要。
D 指導監督的実務経験証明書
E 指導監督的実務経験を積んだ契約書の写し、体制図等
F 会社概要資料(パンフレット、建設業許可証の写し、会社登記簿謄本等)

 

B-2.実務経験の場合
@ 認定申請書
A 認定を受けようとする者の履歴書
B 指導監督的実務経験証明書
  ※発注者から直接請負った4,500万以上の建設工事について、2年以上工事の技術面を総合的に
   指導監督した経験を有する必要有り。
   請負代金の額は日本円にレート換算したものも併せて記載。・レートは契約締結当時のもので
   計算し、換算に使用したレート表及び円レートを導いた計算式を確認資料として添付。
C 指導監督的実務経験を積んだ契約書の写し、体制図等
D 申請業種の関連学科を履修している場合は、それを証明する卒業証明書
E 実務経験証明書
F 実務経験を積んだ契約書の写し
G 会社概要資料(パンフレット、建設業許可証の写し、会社登記簿謄本等)

 

大臣特認の申請はあくまでも個別申請となるので、実際に申請する場合には、国土交通省不動産・建設経済局国際市場課に詳細を事前確認しておく必要があります。

 

 

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