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建設業の営業所について

この記事では、建設業法で「営業所」の定義や要件について解説します。また、営業所の新設の場合や、さらに新営業所で工事業種の追加をしたい場合に建設業の営業を行うのに、届出が必要な場合と不要な場合について、また大臣許可の「許可換え新規」の申請が必要な場合についても解説しています。営業所の変更、新設について疑問のある方にも役立つ内容となっています。

1.営業所とは?

建設業法で「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時、建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。建設業に関係の無い営業所、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所や登記上の本店などは建設業の営業所としては対象外となります。
しかし、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、この「営業所」に該当することになります。
  (「建設業許可事務ガイドライン」国総建第97号より)
また、建設業に関わる作業所や工事事務所は,、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とはなり得ず、営業所とはなりません。この営業所に該当しない事務所は、営業所に求められる要件(専任技術者の配置など)を満たさなくても構いませんが、営業所としての機能を持たないため、当然そこで建設工事の請負契約などをすることもできません。

 

なお、また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいうのですが、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わないとされています。
  (「建設業許可事務ガイドライン」国総建第97号より)
つまり、本社と別に営業所がある場合に、この営業所で締結する契約書の名義人が営業所の所長名でなく、本社の社長名であっても構わないということですが、この営業所において契約書が締結されたことを別途、示せるようなものが必要になる可能性はあると考えられます。

 

なお、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然に、営業所に該当するので注意が必要です。
また、「営業所」ごとに専任技術者を配置することになるので、各営業所に配置できる専任技術者の要件を確認する必要があります。

2.営業所の要件について

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建設業許可申請においては、建設業の営業所とは、一般的には次の要件を備えているものをいうとされています。 (東京都の場合)
(1) 外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること。
(2) 電話、机、各種事務台帳等を備えていること。
(3) 契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他法人又は他の個人事業主とは
  間仕切り等で明確に区分されているなど独立性が保たれていること。
(4) 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結
  んでいること(住居専用契約は、原則として、認められません。) )。
(5) 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること。
(6) 経営業務の管理責任者又は建設業法施行令第3条に規定する使用人(建設工事の請負契約
  締結等の権限を付与された者)が常勤していること。
(7) 専任技術者が常勤していること。
(8)単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等でないこと。

使用権原を有していることの確認

1.個人の場合

事業主本人の持ち物であれば建物の謄本で所有者欄が本人名義であることを確認。
賃貸の場合は、建物賃貸借契約書で確認。居住用となっていれば建物使用承諾書に家主から承諾をもらう。

2.法人の場合

法人所有であれば建物の謄本で所有者欄が法人名義であることを確認。
代表者個人の所有であれば、個人から法人への建物使用承諾書を作成。
賃貸の場合は建物賃貸借契約書で確認。

営業所の確認資料

営業所の確認資料としては、さまざまな資料を提出しなければなりません。たとえば
@ 営業所の写真
A 営業所を使用する権原を確認するための資料
等があります。
法人の場合必ず法人の履歴事項全部証明書(謄本)を添付しますが、本店の所在地と実際の営業者が異なる場合は、実際営業所のある所在地で申請します。
この場合の申請住所は事実上の住所になりますが、登記上の住所も記載して申請します。

自宅兼事務所の場合は?

居住スペースと事務所との区分、独立性があれば認められます。

賃貸の場合は?

賃貸の事務所でもOKですが、一部の賃貸の形態では許可が難しいものがあります。

3.主たる営業所と従たる営業所とは?

建設業許可申請書においては、主たる営業所と従たる営業所を記載します。
「主たる営業所」は建設業許可を申請する際に、必ず設ける必要があります。主たる営業所以外のものが、「従たる営業所」に該当します。従たる営業所は、必ず設置しなくはならないものではなく、必要がある場合に設置します。営業所が本社のみとか1か所しかないのであれば、そこが主たる営業所となり、従たる営業所はないということになりますので、あまり悩むことはないのですが、複数の営業所がある場合には、主たる営業所と従たる営業所はどのようになるのでしょうか?
「主たる営業所」とは、建設業を営む営業所を統括し、指揮監督する権限を有する1箇所の営業所を指します。通常は本社や、本店等が主たる営業所になります。 ただし、登記簿上の本社や、本店等であっても、建設業としての実態を有しないものは、主たる営業所には該当しませんので、この場合は主たる営業所とはなり得ません。。
このような場合における主たる営業所と従たる営業所は以下のように区別されます。
主たる営業所
・建設業を営む営業所を統括し、指揮監督する権限を有すること
・経営業務の管理責任者が常勤していること
・専任技術者が常勤していること
従たる営業所
・主たる営業所以外で建設業を営む営業所
・令3条の使用人が常勤していること
・専任技術者が常勤していること

 

4.届出をしていない営業所での注意点

建設業の許可を受けると、許可を受けた業種について「軽微な建設工事」以外の工事(500万円以上(建築工事業は1,500万円以上)の工事)を請負うことができるようになりますが、主たる営業所又は従たる営業所として届出た営業所で営業しなければなりません。「届出をしていない営業所」において、「軽微な建設工事」を請負ってもよいのでしょうか?「軽微な建設工事」はそもそも許可がいらないのだから、届出をしていない営業所で許可を受ける前と同様に営業をしてもよいと考えてしまっていませんか?
実は許可を受けた業種については、軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、その工事業種について営業することはできません。営業するのであれば、その営業所についても届出が必要です。

 

5.営業所毎に許可業種を分ける場合の注意点

例えば、東京都にある本社では「建築一式工事」、東京都内のA支店では「電気工事」で東京都知事の許可を取得した場合を考えてみましょう。
本社には常勤役員(経営業務の管理責任者)、建築一式工事の資格か実務経験を有する専任技術者が常勤していなければなりませんし、A支店には支店長(令3条の使用人)と電気工事の資格・実務経験を有する専任技術者が常勤していなければなりません。
この場合は、本社では「建築一式工事」について、A支店では「電気工事」について「軽微な建設工事」以上の請負金額の工事を請負うことができるわけですが、本社で「電気工事」を請負うことはできるのでしょうか?
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この場合は、「建築一式工事」の許可しか持っていない本社では、「電気工事」に関しては「軽微な建設工事」であっても請負うことはできません。また逆にA支店では「電気工事」の許可しか持っていないので、「建築一式工事」について「軽微な建設工事」であっても請負うことはできません。会社として許可を全く受けていない許可業種については「軽微な建設工事」であれば請負うことはできます。

営業所の新設と工事業種について具体例で解説

先ほどの例で、本社では「建築一式工事」、A支店では「電気工事」で許可を取得した場合に、新たに都内にB支店を開設した場合を考えてみます。
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このB支店において建設業を営むには以下の4通りの方法があります。
(1)B支店で「建築一式工事」のみを請負う場合

令3条の使用人及び「建築工事業」に関する資格または必要な実務経験を持つ専任技術者の各1名を新たにB支店に常勤で配置して、B支店新設の届出を提出する。「軽微な建設工事」のみを請負う場合であっても届出が必要。

(2)B支店で「電気工事」のみを請負う場合

令3条の使用人及び「電気工事」に関する資格または必要な実務経験を持つ専任技術者の各1名を新たにB支店に常勤で配置して、B支店新設の届出を提出する。「軽微な建設工事」のみを請負う場合であっても届出が必要。

(3)B支店で「建築一式工事」および「電気工事」を請負う場合

令3条の使用人を1名、「建築一式工事」および「電気工事」に関する資格または必要な実務経験を持つ専任技術者1名(もしくは業種毎に各1名の計2名)を新たにB支店に常勤で配置して、B支店新設の届出を提出する。「軽微な建設工事」のみを請負う場合であっても届出が必要。

(4)B支店で「建築一式工事」、「電気工事」以外の工事業種を請負う場合

@「軽微な建設工事」(500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事)のみの営業を行
  うのであれば、申請や届出は不要。令3条の使用と専任技術者も配置は不要です。会社とし
  て許可を受けていない工事業種であるためです。
A「軽微な建設工事」以上の請負金額の営業を行う場合は、令3条の使用人を1名、行おうと
  する業種に関する資格または必要な実務経験を持つ専任技術者の1名をB営業所に常勤で
  配置し、「業種追加」の申請を行って許可を受ける。

 

(1)、(2)、(3)のように会社としては既に許可を持っている工事業種を新たな営業所で営業する場合ですが、たとえ「軽微な建設工事」(500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事)のみの営業を行う場合であっても、営業所としての届出を行い許可を得る必要があるのです。また、そのためには令3条の使用と専任技術者を新たに配置しなければなりません。
上記の(4)の場合には、会社として許可を受けていない業種ですので、「軽微な建設工事」として、B支店は届出は不要ということになります。

他県に営業所を新設する場合はどうなる?

上記の具体例について、B支店が都内ではなく神奈川県だとするとどうなるでしょうか。
「営業所」が全て同じ都道府県内にある場合は知事許可、複数の都道府県にある場合は大臣許可が必要となります。
したがって、(1)、(2)、(3)の場合とも、届出ではなく、大臣許可を新たに申請して許可を受けなければなりません。(「許可換え新規」といいます)
(4)@であれば、許可業種以外の業種について「軽微な建設工事」のみの営業なので、届出も許可換え新規の許可も不要です。
(4)Aの場合は、大臣許可を新規に申請して許可を得る(許可換え新規)必要があります。

 

<参考>
『国土交通大臣の許可と都道府県知事の許可の区分については、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合には国土交通大臣の許可、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする場合には都道府県知事の許可とされているが、この場合における営業所は、当該許可に係る営業所のみでなく、当該建設業者についての当該許可に係る建設業を営むすべての営業所と解して取り扱う。すなわち、許可を受けた業種について軽微な建設工事のみ行う営業所についても法に規定する営業所に該当し、当該営業所が主たる営業所の所在する都道府県以外の区域内に設けられている場合は、国土交通大臣の許可として取り扱う。』(「建設業許可事務ガイドライン」国総建第97号より)

 

まとめ

「軽微な建設工事」のみを営業する営業所については、複数ある場合には無条件に許可は不要ということではないので、突き詰めると複雑な構成になっていて勘違いしやすいところだと思います。営業所が1か所のみであれば悩むことはないのですが、複数の営業所を設置するということになると、営業所には建設業法に違反とならないために、どの営業所でどの業種の許可を取るのか戦略的な許可の取得方法を検討していただければと思います。

 

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