建設業許可の要件について詳しく解説!
建設業許可を受けるためには、どのような要件が求められるのでしょうか?この記事では、建設業許可の要件に解説しています。
いろいろなホームぺージなどで、建設業許可の要件を解説している記事を見かけると思いますが、許可の要件やそれを立証する資料については、非常にわかりにくい内容だと思いますので、これをさっと読んで、要件はみたせないなと簡単に判断してしまうのはもったいないことです。この記事でもすべてを記載はできないので、各要件について、それぞれ個別の記事にて詳細を解説しているくらいですので、これを理解するというのは容易ではないと思います。
建設業許可を専門にしている行政書士であれば、こういう資格や学歴はありませんか?とか、こういう資料はありませんか?とか、いろいろご事情をお聞きして要件を立証する方策を考えます。ご自分の判断で諦める前に、ぜひ、御相談してみてほしいと思います。
建設業法において、以下の6つの許可の要件が定められています。
@経営の安定性(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力)
A財産的基礎
B技術力・・・業種ごとの技術力(営業所専任技術者)
C適格性・・・誠実性
D欠格要件に該当しないこと
E適切な社会保険への加入
※令和2年10月1日より、適切な社会保険への加入が許可要件になりました。
1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
建設業許可の要件としては、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」があります。以前は、「経営業務の管理責任者」であったのですが、他の場合にも若干、緩和されて「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」となっています。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力とは、常勤役員等1人(もしくは常勤役員一人+当該常勤役員等を直接補佐する者)で一定の経験を有する者をいいます。
具体的には、以下のイ、ロ、ハのいずれかに該当する者をいいます。
イ.常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(イ(2) ではない者)として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
ロ.建設業に関する経営体制を有する者( a および b をともに置く者)
a.常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者
(1)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて 建設業に関し 5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位( エ参照 )にある者としての経験を有する者
(2)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有 し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者
b.aの「常勤役員等」を直接に補佐する者で、「財務管理・労務管理・業務運営の業務経験」を有する者
ハ.その他、国土交通大臣が個別の申請に基づきイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認めた者
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の詳しい内容は、「経管とは」の解説をご覧ください。
2.財産的基礎(金銭的信用)
次には、「財産的基礎(金銭的信用)を有すること」が挙げられます。
建設業を営むには、資材の購入、労働者の確保、機材の購入 、工事着工の準備資金 等 を必要とするため、財産的基礎(金銭的信用)を有していることを要件とされています。既存の企業にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表において、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表において判断します。
2-1.「一般建設業」の場合
一般建設業の場合、以下のいずれかに該当することが必要です。
1.自己資本額が500万円以上であること
※自己資本とは、法人では純資産合計の額をいいます。個人では(期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額)−事業主貸+利益留保性の引当金及び準備金です。
2.500万円以上の資金を調達する能力を有すること
資金調達能力については、金融機関からの融資の可否で判断されます。(預金残高証明書・融資可能証明書・不動産登記簿謄本等)
3.許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
注1) |
直前5年間の許可の継続実績については、廃業や許可の取消し、許可の有効期間が満了したことに伴う失効によって継続が途切れた場合や、一度も更新申請をしていない場合は該当しません。ただし、他の申請を伴わない初回の更新申請時については、5年間継続したものとみなされます。 |
注2) |
一般・特定いずれの場合でも、倒産することが明白である場合は、上記基準に適合していないものとして取り扱うことがあります。 |
注3) |
新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表において判断する」という点について補足しますと、例えば資本金100万円で会社を設立して、400万円増資したとしても、一度決算を終えるか、増資とは別に500万円以上の現金(資金調達能力)を用意しないと要件を満たしません。 |
2-2.「特定建設業」の場合
特定建設業の場合は、以下のすべてを満たす必要があります。特定建設業に関しては、下「請負人保護のため更に厳格な要件となってい ます 。
※一般・特定いずれの場合でも、倒産することが明白である場合は、上記基準に適合していないものとして取り扱うことがあります。
1.欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
法人: |
[(繰越利益剰余金の負の額 資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金 |
個人: |
[(事業主損失−事業主借勘定−事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)/資本金] ×100≦20% |
2.流動比率が75%以上であること
(流動資産合計 ÷流動負債合計 ) ×100≧75%
3.資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
法人: | 純資産合計≧4,000万円 |
個人: |
(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)−事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金≧4,000万円 |
注) |
申請時直近の確定した貸借対照表(定時株主総会の承認を得たもの)において上記全てを満たす必要があります。 |
3.専任技術者
次に、「営業所毎の専任技術者を有すること」があります。
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、建設工事についての専門知識が必要です。請負契約に関する見積、入札、契約締結当の業務の中心は各営業所にあることから、建設業を営むすべての営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を専任で配置することが必要です。このような技術者を専任技術者といいます。
専任技術者の業務は、専門的な知識や技術を持つもので、常時その営業所に勤務し、建設工事に関する適正な請負契約を締結することです。
専任技術者は一定の資格と経験を有する者を営業所ごとに配置します。
一般建設業の場合は、以下のいずれかに該当することが必要です。
- 一定の国家資格を有する者
- 許可を得ようとする建設業の実務経験
- その他
・大学または高等専門学校の指定学科卒業者(3年以上の実務経験)
・高等学校又は中等教育学校の指定学科卒業者(5年以上の実務経験)
・専修学校の専門士又は高度専門士を称する者で指定学科卒業者(3年以上の実務経験)
・専修学校の指定学科卒業者(5年以上の実務経験)
・10年以上の実務経験者
・複数業種について一定期間実務経験を有する者
海外での工事実務経験を有する者で、国土交通大臣の個別審査を受けて認定を受けた者
専任技術者の詳しい内容は、「専任技術者とは」の解説をご覧ください。
4.誠実性
次に「誠実性を有すること」があります。
許可を受けようとする者が請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。
不正ない行為とは、請負契約の締結または履行に際して詐欺、脅迫等、法律に違反する行為。
不誠実な行為とは、工事内容、工期等、請負契約に違反する行為。
※建設業法・建築士法・宅地建物取引業法等で免許の取消処分、あるいは営業停止処分を受けて5年を経過しない者も誠実性がないと取り扱われます。
誠実性の求められる対象は、法人・役員等、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長・営業所長等)が該当します。
4-1.「役員等」とは?
誠実性において、上記の「役員等」とは、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいいます。その可能性がある者として、少なくとも「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主」及び「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」(個人である者に限る)が挙げられます。この他、役職のいかんを問わず、取締役と同等以上の支配力を有する者についても 同様です 。
5.欠格要件に該当しないこと
最後に、「欠格要件に該当しないこと」が挙げられます。
欠格要件に該当する者は建設業許可を取得できません。主な欠格要件は以下のとおりです。
1. | 許可申請書・添付書類の中に虚偽の記載、又は重要な事項の記載が欠けているとき。 | |
2. |
法人ではその「役員等」、個人ではその本人、その他令3条の使用人(※)が次に該当するとき。 |
|
・ | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | |
・ | 不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者 | |
・ | 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者 | |
・ | 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者 | |
・ | 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 | |
・ | 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者 | |
・ | 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 建設業法、又は一定の法令の規定(※)に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの | |
・ | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法人である場合においては、その役員等)が上記のいずれかに該当する者 | |
・ | 暴力団員等がその事業活動を支配する者 |
※一定の法令の規定については以下のとおりです。
・ |
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)」の規定(同法第31条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反した者に係る同法第46条、第47条、第49条又は第50条 |
・ |
「刑法(明治40年法律第45号)」第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条又は第247条 |
・ |
「暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)」 |
・ |
「建築基準法(昭和25年法律第201号)」第9条第1項又は第10項前段(同法第88条第1項から第3項まで又は第90条第3項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反したものに係る同法第98条 |
・ |
「宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)」第13条第2項、第3項又は第4項前段の規定による都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第23条 |
・ |
「都市計画法(昭和43年法律第100号)」第81条第1項の規定による国土交通大臣又は都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第91条 |
・ |
「景観法(平成16年法律第110号)」第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した者に係る同法第100条 |
・ |
「労働基準法(昭和22年法律第49号)」第5条の規定に違反した者に係る同法第117条(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号以下「労働者派遣法」という。)」第44条第1項(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51年法律第33号)」第44条の規定により適用される場合を含む。)の規定により適用される場合を含む。)又は労働基準法第6条の規定に違反した者に係る同法第118条第1項 |
・ |
「職業安定法(昭和22年法律第141号)」第44条の規定に違反した者に係る同法第64条 |
・ |
「労働者派遣法」第4条第1項の規定に違反した者に係る同法第59条 |
欠格要件について詳しい解説はこちらの「欠格要件について」を参照ください。
6.社会保険加入
令和2年10月1日の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。
適用が除外される場合を除いて、社会保険の加入が資料で確認できない時は 、新規・ 業種 追加・更新申請の許可及び承継等の認可を受けられません。また、既に許可を有している場合は、許可の取消しの事由となります。
以上の許可要件をすべて満たしていれば建設業の許可申請を行えます。また、申請には、その要件を満たしていることを確認できる書類の準備が必要です。建設業許可を新規に取得する場合、要件や必要書類が揃っていれば数日で申請することも可能ですが、実際には数ヶ月以上かけて共に許可取得に向けて準備を進めることは珍しくありません。日々の仕事と並行しながら必要書類を用意したというお客様がほとんどです。
もし、『建設業許可の取得は難しいのでは・・・』と思われている場合でも、ぜひ諦めずに取り組んでみてください。
まとめ
建設業許可の要件について簡潔に解説しましたがいかがでしたでしょうか。各要件については、要件を満たていることをどう資料で立証するのかが重要になtってきますが、それは、ここに全て記載するのは無理なので、各記事のほうで記載していますので、興味のある方はぜひお読みください。
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