建設業許可について詳しく解説!

建設業許可は、500万円以上(建築一式の場合は1,500万円以上)の工事を請負う場合や公共工事入札に参加する場合に必要であり、その許可取得の要件は建設業法において規定されています。この記事では、建設業許可制度について解説しています。建設業許可は、大まかに言うと、請負う建設工事の金額、下請に出す金額、営業所の数と場所によってその種類と区分が分かれています。どのような許可を取得すればよいの疑問をお持ちの方に役立つ記事になっています。

建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。(建設業法第2条)
ここでいう請負とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約のことをいいます。雇用、委任、建売住宅の売買、委託契約や研究等のための調査、物品の販売などは請負には該当しないため、御注意ください。

1.建設業許可の必要な工事

建設業,許可
建設業を営もうとする者は、以下の工事(軽微な工事)を除き、全て許可の対象となり、建設業の種類(29業種)ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受ける必要がありますが、「軽微な工事」については許可を受ける必要はありません。そして、29業種の工事は、一式工事の2種と専門工事の27種に区分され、その区分ごとに「軽微な建設工事」の内容が異なっています。
一式工事は建築と土木の2種類ありますが、建築一式工事だけは許可を要否を決める工事1件の請負代金の額の条件が異なっているのですが、建築一式工事とは、「原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事」ということですが、簡単にいうと、一棟の戸建て等の新築または大がかりな増改築を元請で受注して施工は複数の下請に委託する場合です。東京都では、さらに具体例として「建築確認を要する新築または増改築」と示されています。
許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)
以下の場合は、軽微な工事として建設業の許可は必要ありません。
A.建築一式工事以外の建設工事
  1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
B.建築一式工事で以下のいずれかに該当するもの

(1) 1件の請負代金が1,500万円(注)未満の工事(消費税込み)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150u未満の工事
  (主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

 ※金額には消費税及び地方消費税を含みます。
 ※「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいいます。
なお、請負代金の額の算定においては、さらに下記の2点に注意しておいてください。
@一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額と
  なります。(工事現場や工期が明らかに別である等、正当な理由に基づく場合を除く)
A 注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請
  負代金の額に加えたものが上記の請負代金の額となります。
なお、 建設業法の適用は日本国内であるため、外国での工事等には適用されません。

 

2種類の一式工事と27種類の専門工事が示されています。建設工事の具体的な内容や例示は通達や告示で示されています。
建設業,許可

@一式工事の種類
 1.土木一式工事  2.建築一式工事

 

A専門工事の種類

1.大工工事
2.左官工事
3.とび・土工・コンクリート工事
4.石工事
5.屋根工事
6.電気工事
7.管工事
8.タイル・れんが・ブロック工事
9.鋼構造物工事

10.鉄筋工事
11.舗装工事
12.しゅんせつ工事
13.板金工事
14.ガラス工事
15.塗装工事
16.防水工事
17.内装仕上工事
18.機械器具設置工事

19.熱絶縁工事
20.電気通信工事
21.造園工事
22.さく井工事
23.建具工事
24.水道施設工事
25.消防施設工事
26.清掃施設工事
27.解体工事

 

各工事の内容は、「建設工事の種類」の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は御参照ください。

 

また、建設現場での作業がすべて工事とされるわけではなく、建設工事に該当しない業務としては、例えば樹木の伐採、剪定、草刈り、道路清掃、建設現場への労働者派遣(例:工事現場の警備、人工・常用工事)、建築物・工作物の養生(換気扇にビニールをかぶせる、窓にシートを張るなど)や洗浄、道路・緑地・公園・ビル等の清掃・管理のような業務は建設工事ではないので建設業の許可は不要です。

 

このような建設業、建設工事に該当しない業務、建設業許可の必要・不要な業務については、「建設業許可の必要な工事」の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は御参照ください。

2.許可の有効期間

許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了となります。引き続き建設業を営もうとする場合には、期間が満了する日の30日前までに、当該許可を受けたときと同様の手続きにより更新の手続きを取らなければなりません。これを怠ると期間の満了とともに建設業許可の効力を失います。
なお、事業承継の場合の許可の有効期間については、当該承継の日における許可の有効期間の残存期間にかかわらず、当該承継の日の翌日から起算します。
なお、事業承継については、「事業承継制度について」の記事で詳しく解説していますので、御参照ください。

3.一般建設業と特定建設業

建設業の許可は工事業種29種について、大臣許可・知事許可と一般建設業許可・特定建設業許可の種類・区分が設けられています。
建設業,許可
一般建設業、特定建設業について解説していきます。
建設業の許可の区分には、一般建設業と特定建設業とがあり、同一の工事業種で一般と特定の両方の許可は受けられません。
1.一般建設業の許可
軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする場合を除き、 建設業を営む者は、元請・下請を問わず一般建設業の許可を受けることが必要です。

※軽微な工事とは、500万円未満の建設工事。(建築一式工事の場合は、1件の請負額が1,500万円未満の工事、または延べ面積150u未満の木造住宅工事)

2.特定建設業の許可
特定建設業の許可の制度は、下請の保護等のために設けられているもので、法令上、特別な資格や義務が課せられています。
発注者から直接工事を請け負い(元請)、かつ、4,000万円以上 (建築一式の場合は6,000万円以上)を下請契約して 工事を施工する者は、特定建設業の許可を受けることが必要です。
軽微な建設工事を除くと、一般建設業の許可が必要となります。そして、さらに元請として、下請に対する発注額が上記の額以上であると特定建設業の許可が必要になります。(受注の額ではありません)受注の額なのか、下請への発注額か、きちんと区分しておきましょう。
請負金額、下請金額の注意点
請負金額、下請に出す金額については、一括下請けの禁止や工事材料等の額が含まれるのかどうかについて留意する必要があります。

(1)

 

 

 

 

(2)

 

 

(3)

 

 

 

 

契約書等において、施主(発注者)の承諾を得た場合以外は、工事の全部を下請に出すこと(一括下請)はできません。(建設業法第22条)
また、公共工事については、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」で、公共工事における一括下請が禁止されています。これは二次以降の下請にも同様に適用されます。
軽微な工事かどうかについて、注文者が工事材料を提供し、それが工事請負代金に含まれない場合(いわゆる無償支給)、その市場価格または市場価格及び運送費を加えた額で判断されます。 
下請契約の額について、工事材料を購入した場合や警備業者への委託の額は対象外とされます。しかし、特定建設業許可が必要となる「4,500万円以上 (建築一式の場合は7,000万円以上)の下請契約」の場合、この額には、元請けが提供する材料等は含めません。

(令和5年1月1日から、従前の「4,000万円以上」(建築一式工事の場合は「6,000万円以上」であったのが、それぞれ「4,500万円以上」(建築一式工事の場合は「7,000万円以上」に改正されました。)

 

※このように、工事材料等の額が含まれるのか、含まれないのか、注意が必要です。

Q..本店では特定建設業許可、その他の営業所では一般建設業許可を取るということは出来ますか?

A.同一工事業種、たとえば大工工事業について、本店は特定建設、A営業所は一般建設業というようなことはできません。ただし、会社として大工工事業は特定建設業、内装仕上工事業は一般建設業ということは可能です。この場合、大工工事業(特定建設業)は本店、内装仕上工事業(一般建設業)はA営業所というようにもできます。

 

さらに詳しい内容は、「一般建設業と特定建設業」の記事で解説していますので、興味のある方は御参照ください。

4.大臣許可と知事許可

建設業,許可
建設業の許可の種類には、国土交通大臣による大臣許可と、都道府県知事による知事許可があります。
どちらの許可が必要かは、営業所の所在地によって決まります。

大臣許可
知事許可

二以上の都道府県に営業所を設ける場合には、大臣許可が必要です。
一の都道府県内にのみ営業所を設ける場合(一の都道府県内に複数の営業所を設ける場合も含む)は、知事許可が必要です。

たとえば、A県の営業所で一般建設業の建築工事業を、B県の営業所で特定工事業の土木工事業をそれぞれ営業しようとする場合は、A県とB県でそれぞれ知事許可を申請するのではなく、大臣許可を申請します。

 

Q.大臣許可と知事許可を営業所ごとや工事業種ごとに取れるのでしょうか?

A.会社として、大臣許可と知事許可いずれかだけの許可となります。

 

知事許可は、ひとつの営業所か同一都道府県に複数の営業所がある場合の許可ですし、大臣許可は、複数の都道府県にそれぞれ営業所を置く場合の許可ですから、両立しない話ですから当然そうなります。
また、土木工事は大臣許可、建築工事は東京都知事許可という許可も、両立しない話です。しかし、複数営業所がある場合には、例えば本店は土木工事、建築工事の2業種の許可、他の営業所では土木工事のみ1業種の許可ということは構いません。

 

許可を受けた業種について、建設業の許可が不要である「軽微な建設工事」のみ行う営業所についても、当然に「営業所」に該当します。それはどうのような意味を持つのでしょうか?以下の点に注意が必要です。

Q.その「軽微な建設工事のみ行う営業所」が主たる営業所の所在する都道府県以外の区域内に設けられている場合は、知事許可でよいか?

A.知事許可ではなく、国土交通大臣の許可が必要です。

Q.届出をしている営業所以外において、軽微な建設工事であれば営業してもよいか?

A.許可を受けた業種については、軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、その工事業種について営業することはできません。

営業するのであれば、その営業所についても届出が必要です。
なお、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然に、営業所に該当するので注意が必要です。
また、「営業所」ごとに専任技術者を配置することになるので、各営業所に配置できる専任技術者の要件を確認する必要があります。

 

さらに詳しい内容は、「大臣許可と知事許可」の記事で解説していますので、興味のある方は御参照ください。

5.営業所とは

建設業,許可
「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
※契約書上の名義が事務所の代表者であることを問うものではありません。
また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。
建設業に関係の無い営業所や登記上の本店などは建設業の営業所としては対象外となります。
また、建設業に関わる作業所や工事事務所は営業所とはなりません。
なお、営業所の所在地は、工事の施工場所とは関係がありません。営業所の所在する都道府県の区域以外でも工事を施工することは問題ありません。たとえば東京都知事の許可で、東京都以外の県で施工しても問題ありません。
ただし、注意点があります。まず、「営業所」ごとに専任技術者を配置することになるので、各営業所に配置できる専任技術者の要件を確認する必要があります。また、工事現場には、技術者の常駐が必要です。

 

専任技術者については、「専任技術者の資格と要件」の記事で詳しく解説していますのでを参照ください。

 

なお、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然に、営業所に該当するので注意が必要です。
また、営業所には、上記のような業務を行うために備品などが必要となると考えられますので、その点についても、実質的に許可の要件となっています。

 

詳しくは、「営業所の要件」の記事で解説していますので、興味のある方は御参照ください。

6.建設業許可の要件

「建設業を営む者」とは、建設業の許可を受けていない者と許可を受けている者の両方を言います。これに対して、「建設業者」とは、許可を受けている者をいいます。建設業を営もうとする者は、「軽微な工事」を除き、全て許可を受けなければなりません。
建設業の種類29業種ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事のいずれかの許可を受ける必要があり、また、請負う金額や下請に発注する金額によって一般建設業か特定建設業のどちらが必要かが決まります。
建設業許可は、一般建設業か特定建設業ごとに申請の区分が分かれており、29工事業種別に許可を受けます。許可の要件は下記のような内容で定められており、A財産的基礎、B技術力は一般建設業か特定建設業かで許可要件が異なっていますが、それ以外は共通となっています。

 

許可要件について
許可の要件は以下の6つがあります。
@経営の安定性(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力)
A財産的基礎
B技術力・・・業種ごとの技術力(営業所専任技術者)
C適格性・・・誠実性
D欠格要件に該当しないこと
E適切な社会保険への加入
 ※令和2年10月1日より、適切な社会保険への加入が許可要件になりました。

 

建設業の許可制度については、「建設業許可について」で、許可要件については、「建設業許可の要件」で詳しく解説していますので御参照ください。

 

まとめ

建設業の許可の制度について、主に知事許可と大臣許可と営業所の関係、一般建設業と特定建設業の違い、許可要件の違いなどについて御理解いただけたでしょうか。ここでは、あまり各論に入らずに全体を理解いただけるように記事を書いたつもりです。詳しい内容は、各記事で解説しているのでそちらをご覧いただければと思います。

 

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