公共工事を元請けとして受注するまでの流れ
公共事業を元請けとして受注するためには入札に参加しなければなりません。そして入札に参加するためには入札に参加する資格が必要になります。官公庁では入札を希望する業者に対して「競争入札参加資格審査」を実施しています。業者は事前にこの「競争入札参加資格審査」の申請書を希望する官公庁に提出し、有資格者名簿に登録されることで、はじめて入札に参加することができます。
競争入札参加資格審査を申請するには、経営事項審査の結果通知書を提出しなければなりません。そして、経営事項審査を申請するには、建設業許可を取得している必要があります。無許可の建設業者は経営事項審査を申請できません。
公共工事であっても下請である場合には、「競争入札参加資格審査」を受ける必要はありません。
この記事では、公共工事の入札参加の概要を解説しています。
競争入札の方法
国や都道府県、市町村等の地方自治体が発注する建設工事(公共工事)を受注する方法は、競争入札となっており、その理由は、公平かつ公正に業者を選び、適正な価格で契約を結ぶことにあります。競争入札には、大きく分けて「一般競争入札」と「指名競争入札」があります。一般競争入札とは、業者を指定せずに行う入札のことで、あらかじめ「入札参加資格審査」を行い、その結果により建設業者の名簿を作成し、その名簿に登録している建設会社が入札に参加することが出来ます。そのうち、大半は一般競争入札になっています。
競争入札は、原則として予定価格の制限の範囲内で最低札の工事業者を落札者とする最低価格自動落札方式によるとされています。ただし、これでは、工事の履行の確保が困難な場合もあることから、価格以外の要素(技術力、社会性等)を総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式の場合もあります。
「指名競争入札」は、業者を数社の業者が指名され、一番安いところが落札できることになります。また、競争入札以外の契約方法としては、随意契約があり、一社のみが指名されて契約します。
ちなみに、東京都の入札参加資格をもつ事業者の数は、延べ2万社を超え、そのうち約9割が中小企業とのことです。
公共工事の入札参加までの流れ
公共工事を受注するために入札に参加するまでの流れを簡単に記載すると次のようになります。
1.建設業許可を取得する。(5年間有効)
2.経営事項審査の申請をする。(毎年申請)
3.官公庁に競争入札参加資格審査を申請し、競争入札の資格を取得する。
(有効期間は2年間。ただし、市区町村などで1年8ケ月のような場合もあります)
4.競争入札に参加する。
建設業許可と経営事項審査(経審)はなぜ必要?
建設業許可は、29の工事業種毎に、一定規模以上の工事を請け負うために必要となる許可ですが、経営事項審査を受けるには、その工事業種の建設業許可を持っていなければなりません。そして、公共工事の入札に参加するためは経営事項審査の評点が必要になります。経営事項審査は、建設業者の経営状況、経営規模、技術力、社会性などを審査し点数化するもので、公共工事の発注先を決定するときにその業者を客観的に審査するためのものです。
※「公共工事を発注者から直接請け負おうとする者は経営事項審査を受けなければなら
ない」(建設業法第27条の23第一項から)と定められています。
競争入札参加資格審査とは?
「競争入札参加資格審査」においては、申請した工事業種について、経営事項審査の点数(客観的審査)と発注者の主観的審査(最高完成工事経歴)の点数により審査資格のランク(格付け)が決まります。この格付けの結果は有資格者名簿に登録されます。この等級別登録(格付け)によって受注できる公共工事の規模が決まります。
競争参加資格審査は、個別工事の性質又は目的によらず常に要求される審査項目について審査されるものであり、個別工事の発注の都度、審査する手間を省いて発注者(官公庁)の業務の合理化・効率化を図っているものとされています。
競争参加資格審査の申請時期は、定期受付と随時受付があります。東京都では定期受付は2年に一度で、東京都の場合、例年、11月下旬から翌年の1月末までとなっております。(詳しくは、別途、公表されている申請の手引きを参照ください)
随時受付は、定期受付で申請しなかった工事業者や、その他定期受付の期間以外に入札参加資格が必要になった工事業者の方が申請できます。
審査基準は、定期受付も随時受付も同じです。
競争入札参加資格審査の有効期間は2年間が一般的です。但し、官公庁よってその有効期間は異なる場合があります。
尚、建設業許可申請や経営事項審査(経審)のように、官公庁へ納入する手数料はかかりません。
中央省庁においては、許可業種における経営事項審査の総合評定値P点によって格付が決定するのが一般的です。
一方、地方公共団体においては、客観的審査事項(経営事項審査申請の総合評定値P点)と主観的審査事項(各種目における最高完成工事実績)によって決定されるのが一般的です。
経営事項審査の評点は、この格付けの決定において大変重要な要素となりますので、より大きい工事を受注するためには、より上の格付けが必要で、そのためには、経営事項審査の評点アップが重要になってきます。
競争入札参加資格審査の申請は、「電子申請」の場合には、事前に、電子証明書、ICカードリーダーの購入及びPCのセッティングが必要になります。
電子証明書、ICカードリーダーは、後の電子入札の参加の際にも使用します。
競争入札への参加
各官公庁の発注計画や公募は、公報やホームページ上で行われています。建設業関係に特化した各社新聞紙上でも掲載されています。公募では、工事件名・施工場所等の他に、対象となる格付(ランク)と受付期間、入札日が掲載されています。この受付期間内に希望票を提出します。現在では多くの官公庁で「電子入札」が導入されています。
最近では最低制限価格について落札されるまでは公表しないということが一般的で、見積もり金額の算出にあたっては、費用を一つ一つ積み上げて計算する「積算」という方法によります。
発注者から入札前に提供される工事内容の資料に基づいて、工事金額を積算し、見積もりを作成します。また、発注者側で最低落札価格を決めているので、最低落札価格を下回らない金額を算出しなければ受注することはできません。落札した場合は発注者と工事請負契約を交わして施工を請負うことになります。
まとめ
建設業許可、経審、競争入札参加資格の申請についてその関係性に重点をおいて解説しました。より大きい公共工事を受注するためには、経審の評点アップを図ることを検討することと、完成工事高の最高受注額が格付けの大きな要因となります。ただし、格付けでの工事業種の区分は、建設業許可、経審での区分に比べてより細かな区分となっていますので、どの工事業種で入札に参加するのかを、許可・経審での業種とよく比べておいたほうがよいでしょう。
それについては、別の記事で解説していますので参照してみてください。
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