その他の建設工事の計上は重要

「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」ですが、その様式に「その他の建設工事の施工金額」の部分があります。この「その他の工事」は、新規申請では申請しない工事業種を、決算変更届の場合は許可を受けていない工事の総額を記載するところです。この記事では、「その他の工事」って何だろう?と疑問に思われる方に役立つ記事になっていますが、それだけでなく、許可を取って何年か経った後に、別の業種を種別追加しようと思ったときに、この「その他の工事」にきちんと数字を計上していなかったために、申請できないというような事があり得るというケースも解説しています。

「その他の工事」とは

「その他の工事」は、下図の「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」ですが、その様式に「その他の建設工事の施工金額」の部分(丸をつけた欄)があります。
建設業,許可,直3完成工事高,その他の建設工事

 

「その他の工事」とは、繰り返しになりますが、新規申請では申請しない工事業種を記載し、決算変更届の場合は許可を受けていない工事の総額を記載するところですが、例えば、大工工事の許可を持っている会社で、メインは大工工事を請負っているけれども、併せて内装仕上工事も請負うこともあるというような場合、決算変更届において、内装仕上工事については、「その他の工事」にその額を記載することになります。この内装仕上工事は、建設業の許可無しで請負っているわけですので、当然ながら請負額が500万円未満の「軽微な工事」になります。(そうでなければ違法となりますので)
この場合ですが、大工工事の附帯工事として内装仕上工事も施工したというような場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、附帯工事については、わざわざ、「その他の工事」として別出しすることはしません。あくまで主体として行った大工工事として扱います。先の例では、内装仕上工事を大工工事の附帯工事として施工したというのではなく、内装仕上工事を主体として請負ったというケースになるので、「その他の工事」に計上するという扱いになるわけです。

 

注)附帯工事を自社で施工する場合には、現場に「専門技術者」の配置が必要です。詳しくは、「附帯工事の注意点」の記事で解説していますのでご覧ください。

 

「その他の工事」がなぜ重要なのか?

はじめて許可を取得して何年が経過し、そろそろ他の工事業種の許可も追加したいと考えたとします。
この間に、この他業種の工事実績が一定の年数が継続していれば、当然、専任技術者の要件を「10年の実務経験」や「指定学科+実務経験」の要件で満たすことが可能となるわけです。ただし、ここで1つ重要なポイントがあります。
建設業許可を持っている業者は、毎年、決算終了後4ヶ月以内に提出することが義務づけられている決算変更届(事業年度終了届)がありますが、この「決算変更届(事業年度終了届)」において、許可業種以外の売上が「その他の建設工事の施工金額」に計上されているかどうかです。この様式を正しく記載すれば、当然ながら許可業種以外の売上が「その他の建設工事の施工金額」に計上されていなければならないのですが、もし、許可業種以外の売上も、まとめて許可のある業種として計上して、「その他の工事」の実績を0円として提出してしまっていると、工事経歴書、財務諸表と全体の工事の売上(完成工事高)と数字の整合はとれていますので、毎年の決算変更届は受理されてきていると思いますが、建設業として「許可業種以外の工事の実績は無いですよ」と自己申告しているわけですから、実績としては見てくれません。つまり実務経験の証明にならないということになってしまうわけです。

 

例えば、大工工事と併せて内装仕上工事も、それぞれを請負ってきている場合で、大工工事だけ実務経験の要件を満たせたので許可を取っていた場合を考えてみましょう。何年か経って内装仕上工事の実績も増えて、実務経験の要件を満たせるので許可を取ろうとした場合に、内装仕上工事を毎年の決算変更届で、「その他の工事」の欄を0円として、実際の額を計上しておかなかったとしたら、自身で決算変更届において「大工工事(許可業種)」以外の実績はありませんと報告しておきながら、業種追加の際には、じつはこれまで「内装仕上工事」も施工してましたと申請することになってしまい、整合性がありません。それでは、これまでの報告は虚偽だったのかということになってしまいます。

 

訂正は可能か

では、業種追加の際に、この実務経験の証明と「その他の建設工事の施工金額」との整合性が取れない場合にどのような対処法があるでしょうか。
これについては、実務経験を証明しようとする工事業種について、実際には工事実績があって、これまでの記載が間違っていたとして決算変更届の訂正を申し出るという方法です。東京都では「変更届出書(別紙8)の訂正について」という様式がありますので、これを使用します。(他県では無いようですので、確認が必要です)
業種追加申請をするのであれば、これまで提出した決算変更届について、実務経験を証明する期間に対して、その訂正が必要です。その場合、「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」と併せて「工事経歴書」の訂正も必要になってきます。それは、許可を受けていた業種の工事の完成工事高を、その他の工事に振り分けなければならないからです。
※実際には、許可行政庁に相談が必要です。

 

虚偽申請はダメ

最初の許可新規申請の際に、直前3年の施工金額は提出しているはずですが、こちらは訂正は認められていません。
また、訂正は、実際に「内装仕上工事」の実績があるので訂正することができるわけですが、本当は実績がないのに内装仕上工事の許可を取りたいからといった理由で、実績がないのに後から実績を作出するために「変更届出書(別紙8)の訂正」を行った場合は虚偽申請に該当します。

 

また、経営規模等評価(経審)を受審している場合には、東京都では、経営事項審査後の工事経歴書、完成工事高などの訂正は原則として認められていません。公的な審査結果通知をもって入札参加資格を取得している以上、これを後で覆すということは避けるべきかと思われますし、変更内容によっては、変更前の工事経歴書は経営事項審査の評点を高くするための虚偽申請ではないか」と疑義を持たれることになります。

 

建設業法第50条には、許可申請書及び経審申請書に虚偽記載をした場合の罰則規定があります。

 

まとめ

「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」における「その他の工事」の欄の記載について、思わぬ注意点があることを解説してきました。複数の工事業種を請負っている場合には、請負った工事について、工事業種で選別して「その他の工事」の額を正しく記載した「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」、及び「工事経歴書」を作成した上で、決算変更届を提出していただきたいと思います。

 

 

関連記事もあわせてお読みください

 

建設業,許可,行政書士 直3完成工事高の注意点

 

建設業,許可,行政書士 工事経歴書作成時の注意点

 

建設業,許可,行政書士 建設工事の種類

 

建設業,許可,行政書士 建設業許可の必要な工事

 

建設業,許可,行政書士 建設業許可の要件

 

建設業,許可,行政書士 一般建設業と特定建設業の違い

 

建設業,許可,行政書士 大臣許可と知事許可の違い

 

建設業,許可,行政書士 営業所の要件

 

建設業,許可,行政書士 経管とは

 

建設業,許可,行政書士 専任技術者の資格と要件

 

建設業,許可,行政書士 主任技術者・監理技術者とは

対応エリア

東京都区部:
足立区、荒川区、板橋区、江戸川区、大田区、葛飾区、北区、江東区、品川区、渋谷区、新宿区、杉並区、墨田区、世田谷区、台東区、中央区、千代田区、豊島区、中野区、練馬区、文京区、港区、目黒区
多摩地域:
昭島市、あきる野市、稲城市、青梅市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、羽村市、東久留米市、東村山市、東大和市、日野市、府中市、福生市、町田市、三鷹市、武蔵野市、武蔵村山市、奥多摩町、日の出町、瑞穂町、檜原村
が主な対応地域です。

 

お問い合わせ

 

お電話・ホームページからお問い合わせください!

行政書士は法律(行政書士法第12条)により守秘義務がありますので安心して御相談ください。。
お電話・ホームページからお問い合わせは無料です。

建設業,許可,行政書士042-595-6071

建設業,許可,行政書士

 

受付時間: 平日9:00-18:00
電話・メールで御予約いただければ土・日・祝日も対応いたします。

 

 

ページの先頭へ戻る