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建設業はなぜ許可制なのか?

建設業はなぜ許可制なのか?という素朴な疑問を取り上げてみたいと思います。それには、まず建設業法について理解することが重要です。順に説明します。

1.建設業法の目的について

建設業,許可
建設業法の目的は、大きく分けて二つあります。

1-1.発注者(施主)の保護を図ること

第一の目的は、不良工事や施工中の倒産を防止することで発注者(施主)の保護を図ることです。
不良工事とは手抜き工事、粗雑工事などです。施主とすれば工事業者を信頼して請負契約をするわけですから、手抜き工事や雑な工事をされたらたまったものではありません。また、施工の途中で倒産したというようなことがあったら大変です。そのようなことのないように施主を保護しなければなりません。
建設工事は、商品を購入するのと違って、品物をみて購入するかどうかを決めるということができないものです。工事業者を信用して契約するしかないわけです。
建売住宅でも、既に完成品が出来上がってから契約する場合もあると思いますが、図面をみての判断で契約して、それから着工というパターンも多いですよね。
建設工事は、でき上がった後で始めて、住宅であれば床が傾いているとか、隙間ができてしまっているとか、施工が雑だったとか、不良工事が発覚するということが起きてしまうわけです。このような不良工事が横行していたり、工事の途中で業者が倒産してしまって連絡が取れないなんてことがしょっちゅう起きていたのでは、安心して発注もできませんし、建設業の発展もなにもありません。

1-2.建設業の健全な発達を促進

第二の目的は、建設業の健全な発達を促進することです。
建設業は、住宅、道路、上下水道、学校、事務所、工場等の個人生活や社会生活の基盤となる諸施設の整備を担う重要な産業で、経済や生活と深く関わ っています。この建設業が調和のとれた産業として発達することが公益的にも必要です。
これら二つの目的は、相互に密接な依存関係に立つもので、建設業法は、不良工事を防止することと建設業の健全な発達が共に公共の福祉の増進に寄与することを理念としています。つまり不良工事や倒産によって工事の品質に対する信頼や業者への信頼が無くなってしまえば、結果として建設業の発達もないということになるわけですし、建設業を営む事業者の発展がなければ、建設工事の品質や経営にも期待できなくなってしまうということですね。

2.建設業法の6つの制度

それでは、この目的を達成するためにはどうすればよいのでしょうか?
建設業法は、その手段として次の制度について示しています。

2-1.許可制度

第一の制度は、建設業を営む者の資質の向上のための許可制度です。
手段の第一は、建設業を営む者の資質の向上です。具体的な方策として建設業の許可制があります。許可制とは、発注者保護の観点から、一定の条件を満たした者に許可を与えることにより、不適格業者の参入を排除するために必要となる以下の点を評価するものです。
・経営の安定性−経営能力、財産的基礎
事業者の経営陣に一定の人的要件の配置を求めることを通じ、一品ごとの受注生産、契約金額が多額、請負者が長期間瑕疵担保責任を負うという、他の産業と異なる特性を有する建設業における適正経営の確保を図る目的があります。建設工事に必要な資金を一定程度担保するために財産的基礎要件を課すことにより、経営の安定性の観点から、建設業者としての適正性を判断しています。
・技術力−業種毎の技術力
建設業に関する営業の中心は各営業所にあることからみて、建設工事に関する請負契約の適正な締結及びその履行を確保するためには、各営業所ごとに許可を受けて営業しようとする建設業に係る建設工事についての技術者を置くことが必要であり、そこに置かれる者は常時その営業所に勤務していることが適切であることから課せられています。
・適格性−誠実性
建設業の営業は注文生産であるためその取引の開始から終了までに長い期日を要すること、前払などによる金銭の授受が慣習化していること等により、いわば信用を前提として行われるものであり、請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするような者に営業を認めることはできないことから課せられています。
国土交通省の資料によれば、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者とは、以下と記載されています。
@暴力団の構成員
A建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者
これらは不誠実の明らかな者ということですので、不誠実性というのは、これらに限るものではありません。
・欠格要件
法令違反者等の排除が目的です。
 ※青字部分は、一般建設業と特定建設業で差を設けられています。

 

許可要件については、こちらの「建設業許可の要件」を参照ください。

2-2.技術者制度

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第二の制度は、施工技術の確保と向上を図るための技術者制度です。
建設業法は、建設業の許可を受けた業者(建設業者といいます)には、業種ごとに工事現場に技術者の設置を義務付けています。
この現場の技術者を主任技術者といいます。さらに、元請として下請契約をする場合に、4,000万円以上※の工事の場合は監理技術者を設置しなければなりません。
 ※建築一式工事野場合は6,000万円以上。
主任技術者、監理技術者は、公共性のある工作物に関する工事については、現場に専任しなければなりません。他の現場との掛け持ちしたり、営業所の専任技術者を兼ねるようなことはできないということです。また、施工技術の確保と向上を図るための技術者制度として、技術検定制度があります。

2-3.発注者や下請負人の保護等

第三の制度は、発注者や下請負人の保護等の.請負契約の適正化です。
○元請負人の義務
例:施工体制台帳の作成(4,000万円以上※の下請契約を締結する場合)
  ※建築一式工事野場合は6,000万円以上。
○公正な請負契約の締結義務
○請負契約の書面締結義務
○一括下請負の禁止
建設工事の請負契約の適正化とは、発注者と請負人、元請負人と下請負人の間に交わされる請負契約をより公正かつ平等にすることによって、請負人、特に下請負人の保護を図ろうとするものです。
一括下請負(丸投げ)の禁止は、@請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一括して他人に請け負わせる場合、A請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して他人に請け負わせる場合であって、請け負わせた側がその下請工事の施工に実質的に関与していると認められないものが該当します。なぜ、禁止なのかというと、施工責任が曖昧になり、手抜工事や労働条件の悪化にも繋がることや、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を防ぐためです。

2-4.経営事項審査制度

第四の制度は、経営事項審査制度による公共工事元請業者の一元評価です。
経営状況等に関する客観的事項の審査で、公共工事の元請になろうとする建設業者に受審を義務付けています。公共工事の元請になるということは、実質敵に入札に参加するということになりますので、入札参加のためには経営事項審査を受けていなければなりません。経営事項審査では次の4つのポイントを審査されます。
@経営状況
A経営規模
B技術力
C社会性

2-5.監督処分等

第五の制度は、監督処分等による法令遵守の実効性の担保です。
法令遵守の実効性の担保のため、以下のような処分等が規定されています。
○行政指導(文書勧告等)
○監督処分(指示処分/営業停止処分/許可取消処分)
○罰則適用

2-6.その他

第六の制度は、下記のようなものがあります。
@建設工事紛争審査会の設置
A建設業者及び建設業者団体に対する指導監督の制度

3.建設業の許可制度とは?

上記の「1.建設業を営む者の資質の向上のための許可制度」で説明したように、建設業を営む者の資質の向上のために許可制度があるということです。「建設業を営む者」とは、建設業の許可を受けていない者と許可を受けている者の両方を言います。これに対して、「建設業者」とは、許可を受けている者をいいます。建設業を営もうとする者は、「軽微な工事」を除き、全て許可を受けなければなりません。
建設業の種類29業種ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事のいずれかの許可を受ける必要があり、また、請負う金額や下請に発注する金額によって一般建設業か特定建設業のどちらが必要かが決まります。
建設業許可は、一般建設業か特定建設業ごとに申請の区分が分かれており、29工事業種別に許可を受けます。許可の要件は下記のような内容で定められており、A財産的基礎、B技術力は一般建設業か特定建設業かで許可要件が異なっていますが、それ以外は共通となっています。

 

許可要件について
許可の要件は以下の6つがあります。
@経営の安定性(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力)
A財産的基礎
B技術力・・・業種ごとの技術力(営業所専任技術者)
C適格性・・・誠実性
D欠格要件に該当しないこと
E適切な社会保険への加入
 ※令和2年10月1日より、適切な社会保険への加入が許可要件になりました。

 

建設業の許可制度については、「建設業許可について」で詳しく解説していますので御参照ください。

 

許可要件については、「建設業許可の要件」で詳しく解説していますので御参照ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。建設業はこれまでに説明したとおり、大変お金や時間がかかる仕事で、多くの人が関係します。社会的な影響が大きい産業です。そのために許可制度を採用して、一定金額以上を請負う場合や一定金額以上を下請とする場合には、許可業者のみしかできないようになっているのです。

 

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