経営事項審査とは?

経営事項審査は、公共工事(国又は地方公共団体等が発注する工事)を発注者から直接請負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。
公共工事を受注できれば、業績向上に寄与するものと思います。
この審査には建設業者の経営規模の認定、技術力の評価、社会性の確認及び経営状況の分析があります。
 1) 経営規模の認定(X)
 2) 技術力の評価(Z)
 3) 社会性の確認(W)
 4) 経営状況の分析(Y)
を行い、客観的評価がつけられます。
毎年、公共工事を発注者から直接請負うためには、定期的に経営事項審査を受ける必要があります。

建設業法(第27条の23第1項)において、公共工事の入札に参加しようとする建設業者は、経営に関する客観的事項の審査を受けなければならないことが定められています。これは、建設工事においては、許可制度により、経営業務の責任者、専任技術者の設置、財産的基礎等の有無を審査することとされていますが、これらの基準は建設業の営業のための最低条件に留まるものです。従って、建設工事の発注者は、その工事の規模、技術的水準等を勘案してそれに見合う能力を有する建設業者を選定する必要があります。

国、地方公共団体等の発注に係るいわゆる公共工事においては、一般競争入札が一般的になっています。一般競争入札においては、入札参加者の選定においてより客観性、厳格さが要求されることとなりますので、従来から活用されてきた経営事項審査が平成6年より義務付けられています。

経営事項審査が必要な建設工事

経営事項審査を受けなければ、直接請け負うことができないとされる工事(公共工事)とは、次に掲げる発注者が発注する施設又は工作物に関する建設工事で、建設工事1件の請負代金額が、500万円以上(建築一式工事の場合は、1500万円以上)のものとなります。
 注)通常の災害復旧工事は対象外。
(1)国
(2)地方公共団体
(3)法人税別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)
(4)上記に準ずるものとして国土交通省令で定める法人は次のとおり

関西国際空港株式会社
公害健康被害補償予防協会
首都高速道路株式会社
消防団員等公務災害補償等共済基金
地方競馬全国協会
東京地下鉄株式会社
東京湾横断道路の建設に関する特別措置法 (昭和六十一年法律第四十五号)第二条第一項 に規定する東京湾横断道路建設事業者
独立行政法人科学技術振興機構
独立行政法人勤労者退職金共済機構
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
独立行政法人中小企業基盤整備機構
独立行政法人日本原子力研究開発機構
独立行政法人農業者年金基金
独立行政法人理化学研究所
中日本高速道路株式会社
成田国際空港株式会社
西日本高速道路株式会社
日本環境安全事業株式会社
日本小型自動車振興会
日本自転車振興会
日本私立学校振興・共済事業団
日本たばこ産業株式会社
日本電信電話株式会社等に関する法律 (昭和五十九年法律第八十五号)第一条第一項 に規定する会社及び同条第二項 に規定する地域会社
農林漁業団体職員共済組合
阪神高速道路株式会社
東日本高速道路株式会社
本州四国連絡高速道路株式会社並びに、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 (昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項 に規定する会社
とする。

但し、次の建設工事については、対象から外れます。
a.堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあるものによつて必要を生じた応急の建設工事
b. aのほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事

経営事項審査の審査項目

以下の内容が審査項目になります。
@経営規模(X1,X2)
・工事種類別年間平均完成工事高(X1)
・自己資本額、平均利益額(X2)
A経営状況(Y)
・経営状況分析
B技術力(Z)
・建設業の種類別技術職員数、工事種類別年間平均元請完成工事高
Cその他の審査項目(W)
・労働福祉の状況、営業継続の状況、防災協定締結の有無、法令遵守状況、建設業の経理の状況、研究開発の状況、建設機械の保有状況、国際標準化機構が定めた規格による登録の状況、若年の技術者及び技能労働社の育成及び確保の状況
総合評定値(P) = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
(X1,X2・・・の記号は、各評価項目に対応する項目別評点)

 

審査機関:
東京都知事許可業者→東京都知事
国土交通大臣許可→国土交通大臣
※Aの経営状況分析は、国の登録を受けた機関が行います。

審査基準日

審査基準日とは、経営事項審査の申請日の直前の事業年度の終了の日(=決算日)のことです。
ただし、新規設立法人又は新たに事業を開始した個人で最初の事業年度を終了していない場合は、設立日又は事業開始日が審査基準日となります。また、合併の場合は、合併後最初の事業年度の終了日を待たず、合併期日又は合併登記の日を審査基準日とすることができます。
審査基準日は直前の事業年度の終了日であるため、申請時に既に新しい審査基準日を迎えている場合、従前の審査基準日では審査を受けることはできません。

経営事項審査結果の有効期間

経営事項審査が必要な建設工事について発注者と請負契約を締結することができるのは、経営事項審査を受審し、その結果通知の交付を受けた後、その経営事項審査の審査基準日(=直前の事業年度終了の日)から1年7月の間に限られています。
従って、毎年公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、審査基準日から1年7月間の公共工事を請け負うことができる期間が切れ目なく継続するよう、毎年定期的に経営事項審査を受けることが必要となります。
この1年7ケ月は、審査結果を受け取ってからの期間ではなく、審査基準日(決算日)から起算されるものです。

 

毎年公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、切れ目なく、毎年経営事項審査を受けることが必要となります。
『公共工事を請け負うことができる期間』は、申請の時期にかかわらず審査基準日から1年7月とされていますので、申請が遅れると審査や結果通知が遅れ、その分だけ『公共工事を請け負うことができる期間』が継続せずに、公共工事を直接請け負うことができない期間ができてしまうことがありますので注意が必要です。

 

 

 

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