会社法での取締役の欠格要件とは?

建設業許可における欠格要件とは別に、そもそも会社の取締役や代表取締役になれないという会社法上の取締役の「欠格要件」がありますので、これにも注意が必要です。以下に詳しく見ていきましょう。

1.取締役の退任事由

まず、取締役が退任となる場合について見ていきます。以下の場合が該当します。
(1)任期満了
(2)辞任

取締役は、いつでもその地位を辞任することができます。辞任はその意思表示によって効力が生じますが、登記手続きのために辞任する取締役から辞任届は実務上必要です。
また、取締役が辞任により退任するときに、当該取締役が退任することにより会社法または定款に定める取締役の人数を満たすことができなくなってしまう場合は、当該取締役は権利義務取締役として取締役の地位に留まります(取締役の地位を逃れることができません)。

(3)解任

取締役は株主総会の決議によって解任することができます。取締役を解任するときの株主総会の決議要件は、定款に別段の定めがない限り、普通決議です。

(4)欠格事由の発生

取締役が、会社法第331条1項に定められている取締役の欠格事由に該当することになった場合は、当該取締役は退任します。
※なお、欠格事由には破産者は含まれておらず、破産者は欠格事由に該当しません。

(5)死亡

取締役が死亡したときは、株式会社との委任関係が終了しますので(民法第653条)、取締役を退任することになります。相続人が取締役になるには、株主総会の決議によって取締役に選任されなければなりません。

(6)後見開始の審判

取締役が後見開始の審判を受けたときは、株式会社との委任関係が終了しますので(民法第653条)、取締役を退任することになります。
ただし、会社法第331条の2によって、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意と就任の承諾)と成年後見人による就任の承諾があれば取締役に就任できます。保佐人についても、その保佐人の同意を得れば取締役に就任できます。
注意点ですが、就任時に成年被後見人であっても就任は可能ですが、就任後に成年被後見人になってしまった場合は、上記の民法の規定によって退任となります。

(7)株式会社の解散、破産手続開始の決定(民法653条「委任の終了事由」)
(8)取締役個人の破産手続開始の決定(民法653条「委任の終了事由」)

 

2.取締役の欠格事由とは

この中で、(4)欠格事由の発生」について、どんな内容が欠格事由として取締役になることができないのかをみていきましょう。
(1)法人
法人は、取締役になることはできません。
(2)会社法規定に違反
(3)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律規定に違反
(4)証券取引法、民事再生法、会社更生法、破産法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の一定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
(5)前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

 

この中で、(4)の中にある破産法についてですが、建設業許可の欠格要件にある「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」との関係はどうなのかを考えてみましょう。
上記の(4)は、破産法の一定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者は、取締役になることはできないということですので、当たり前ですが建設業許可を申請しようとする会社で代表や取締役に就くことはできません。一定の罪とは、以下をいいます。
・詐欺破産罪(破産法第265条) 
・特定の債権者に対する担保の供与等の罪(破産法第266条)
・説明及び検査の拒絶等の罪(破産法第268条)
・重要財産開示拒絶等の罪(破産法第269条)
・業務及び財産の状況に関する物件の隠滅等の罪(破産法第270条)
・審尋における説明拒絶等の罪(破産法第271条)
・破産管財人等に対する職務妨害の罪(破産法第272条)
・贈賄罪(破産法第274条)  
これらは、建設業法の欠格要件には規定されていませんので、建設業許可の欠格要件に該当しませんが、その前にそもそも役員になれないということになります。留意点ですが、これはあくまで一定の罪を犯した場合で、破産したことをもって取締役になれないといことではありません。
ただし、会社が破産手続き中の場合は、民法の規定によって役員は退任となりますので、上記とは別な理由ではありますが取締役に就いていることはできません。

 

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