土木工事業(土木一式工事)の建設業許可要件とは?
「土木工事業(土木一式工事)」の許可要件の疑問にお答えします!
・「土木工事業」の許可を取れるか?
この記事では、そのような疑問や、そのほかに知っておくべきことを解説しています。
「土木一式工事」は、原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に土木工作物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事が該当し、複数の専門工事を組み合わせて土木工作物を作る(解体する)工事や、工事の規模や複雑さなどにより、専門工事では施工できないような工事を指します。
例えば、橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道(元請)、区画整理、道路・団地等造成(個人住宅の造成は含まない。)、公道下の下水道(上水道は含まない。)、農業・かんがい水道工事を一式として請け負うものが「土木一式工事」となります。
知事か大臣か?
東京都内に営業所を構えるのであれば、東京都知事の許可が必要になります。営業所が1か所でも何か所でもその所在が都内であれば同じです。ただし、ひとつでも東京都以外の他県に営業所を構える場合は、大臣許可が必要になります。営業所とは、常時、建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。建設業に関係の無い営業所、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所や登記上の本店などは建設業の営業所としては対象外となります。
建設業許可を必要とする「土木(一式)工事」とは
1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の要件に該当する場合は、許可が必要となります。
「土木工事業」の「一般建設業」許可を取れる条件
「土木工事業」の一般建設業許可を取るには、以下の条件を満たしていることが必要です。
なお、用語に関してですが、
「土木工事業」・・・建設業の業種の名称。許可の対象となるものです。
「土木一式工事」・・・上記の工事業種に対応する建設工事の種類の名称です。
つまり、許可を受ける業種は「土木工事業」で、工事の種類は「土木一式工事」ということになります。
「土木工事業」の「一般建設業」許可を取れる条件
@建設会社での役員5年以上の経験のある常勤役員がいるか、または個人事業主での
建設業の経験が5年以上あること
A「土木工事業」の許可に必要な資格がある技術者、または「土木一式工事」
の実務経験が10年以上の技術者がいること
B誠実性がある(過去に不正な行為をしていない)こと
C500万円以上の資金力があること
D営業所の要件を備えていること
E欠格要件に該当していないこと(破産していない、過去5年で懲役刑を受けて
いない・暴力団員でない等)
F社会保険に加入している(法人の場合)
以下に、詳しく解説していきたいと思います。
@役員または個人事業主での経営経験について
建設会社での役員5年以上の経験、または個人事業主での建設業の5年以上の経験については、「経営業務の管理責任者」と呼ばれる、建設業の経営業務を総合的に管理・執行する管理責任者としての経験をいいます。建設業経営に関して上記のような一定の経営の経験を有していることが必要です。。その理由については、建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しているため、適正な建設業の経営を期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低1人は必要であるとして、要件が定められたものです。
令和2年10月1日から「経営業務の管理責任者」に関する要件が変更になり、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」に変わりました。従来は、「常勤役員等」のうち一人が「経営業務の管理責任者」であることが要件でしたが、これに加えて、直接に補佐、補助する者を配置して体制を整備することでも「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する」として要件を満たすとされました。
つまり、従前どおり「経営業務の管理責任者」を1名置くか、または「常勤役員等及びこれを直接に補佐する者による経営体制」を備えるかのいずれかが必要となっています。
ここでは、簡単に「経営業務の管理責任者」としての経験について説明します。
なお、「常勤役員等及びこれを直接に補佐する者による経営体制」については、別の記事(「経営業務の管理責任者(経管)とは」)で解説していますので、ご覧ください。
経営業務の管理責任者としての経験とは
以下の経験(建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験)がある方がいること。
・建設業許可をもっている(いた)会社での役員経験が5年以上
・建設業許可がなく、建設業を5年以上営んでいる会社での役員経験が5年以上
・個人事業での建設業を5年以上
また、この方は、許可申請時点において、「常勤役員等」の地位にある方でなければなりません。
※「常勤役員等」とは、
・法人である場合:役員のうち常勤である方
・個人である場合:事業主本人又はその登記された支配人の方
をいいます。
この要件に関しては、注意すべきポイントは以下の3点です。
1.まず、この「経験」は、「建設業」の経験とされているので、申請しようとする工
事業種以外の業種の経験であってもかまいません。つまり、「土木工事業」
の申請をしたいという場合でも、例えば、「とび・土工工事業」を営んでいる会社
の役員だったときの経験でもいいわけです。
2.次に、役員の経験という点ですが、必ずしも常勤である必要はなく非常勤役員
としての経験であっても構いません。また、役員ではなく支店長、営業所長等の
役職であっても建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験であ
れば構いませんし、個人事業主としての経験も含まれます。
3.特に個人事業主としての経験の場合に多いケースと思われますが、人工出し・
常用工事の経験は経営業務の管理責任者としては認められていませんので、
契約書、注文書(請書)、請求書に人工でいくらとなってる場合は、注意が必
要です。
なお、「直接に補佐、補助する者を配置した体制整備」、「常勤役員等」、「役員の常勤性」などについては、「経営業務の管理責任者(経管)とは」の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
A資格または「土木一式工事」の実務経験が10年以上の技術者について
建設業の許可を得るには、建設業を営むすべての営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を専任で配置することが必要です。このような技術者を専任技術者といいます。つまり、建設業を営むすべての営業所ごとに「専任技術者」を配置することが必要となります。そして、「土木工事業」における「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の要件は以下のようになっています。
「土木工事業」における専任技術者の要件
1)下記の「土木工事業」が取れる資格を持つ技術者が営業所に常勤していること
資格区分・必要な証明書等 | 資格 |
---|---|
建設業法「技術検定」 |
・一級土木施工管理技士(◎) |
技術士 |
・建設(◎) |
※◎印は、特定建設業許可、一般建設業許可のどちらの許可にも対応できます。
逆に、◎印のないものは、一般建設業には対応できますが、特定建設業には対応できません。
2)「土木工事業」の許可を持っている会社での「土木一式工事」での実務経験
または個人事業主の経験
一般建設業の場合には、10年以上の経験が必要です。
※学歴によって5年若しくは3年に短縮される場合もあります。
「土木工事業」での経営経験・実務経験証明について
・経営管理の責任者の経営経験については、「土木一式工事」での経営の経験に限らず、どの工事業種であっても5年分の経営者としての経験を示す書類が準備できれば要件を満たすことが可能です。必ずしも「土木一式工事」のみで経営の経験を証明できなくてもよいのです。
・しかし、専任技術者の実務経験については、「土木一式工事」での施工の実務の経験が必要で、総合的な企画、指導、調整を行ったことを立証できる資料が必要です。個人事業主または「土木工事業」の許可のない工事会社においては、工事内容から「土木一式工事」を請負うことはまれです。またその工事の実務経験の資料を必要な期間分そろえるのは、かなり困難なケースが多いです。従って、要件を満たす資格を取得されることをお勧めします。
「土木一式工事」の内容とは
「土木一式工事」での実務経験としては、工事業種が「土木工事業」でとして認められる工事内容でなければなりません。
「土木一式工事」は、複数の専門工事を組み合わせて土木工作物を作る(解体する)工事や、工事の規模や複雑さなどにより、専門工事では施工できないような工事を指します。
例えば、橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道(元請)、区画整理、道路・団地等造成(個人住宅の造成は含まない。)、公道下の下水道(上水道は含まない。)、農業・かんがい水道工事を一式として請け負うものが「土木一式工事」となります。しかし、他の専門工事に類似の内容がありますので、間違いのないように理解することは、許可申請においても申請する業種を誤ったりしないために非常に重要です。
例えば、宅地造成工事は工事内容によって「土木一式工事」に該当する場合と、「とび・土工・コンクリート工事」に該当する場合に分かれます。
単に盛土や切土、掘削や締め固めのみの場合は「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。しかし、これらに加え、舗装や擁壁、道路や上下水道などの整備を含めて請け負い、総合的にこれらの工事を施工した場合は「土木一式工事」に該当することになります。
具体的には、道路工事、河川工事、砂防工事、海岸工事、港湾工事、橋梁工事、トンネル工事、ダム工事、水路工事、管渠工事、地下工作物工事、鉄道軌道工事、干拓工事、上水道(公道下本管)配水管工事、上記の土木工作物の解体工事などが該当します。
(作業内容等によって各専門工事に該当する場合があります)
なお、上下水道に関する工事については、他に類似の工事業がありますが、どのように区分されるのでしょうか。
・公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事は、「土木一式工事」に該当します。
※上水道は含まれません。
・農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事は、、「土木一式工事」に該当します。
・家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事は、「管工事」に該当します。
・上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事は、「水道施設工事」に該当します。
B誠実性(過去に不正な行為をしていない)について
「誠実性を有すること」とは許可を受けようとする者が請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。
不正ない行為とは、請負契約の締結または履行に際して詐欺、脅迫等、法律に違反する行為をいいます。
不誠実な行為とは、工事内容、工期等、請負契約に違反する行為をいいます。
※建設業法・建築士法・宅地建物取引業法等で免許の取消処分、あるいは営業停止処分を受けて5年を経過しない者も誠実性がないと取り扱われます。
誠実性の求められる対象は、法人・役員等、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長・営業所長等)が該当します。
C500万円以上の資金力について
建設業を営むには、資材の購入、労働者の確保、機材の購入 、工事着工の準備資金 等 を必要とするため、財産的基礎(金銭的信用)を有していることを要件とされています。既存の企業にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表において、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表において判断します。
一般建設業の場合、以下のいずれかに該当することが必要です。
1.自己資本額が500万円以上であること
※自己資本とは、法人では純資産合計の額をいいます。個人では(期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額)−事業主貸+利益留保性の引当金及び準備金です。
2.500万円以上の資金を調達する能力を有すること
資金調達能力については、金融機関からの融資の可否で判断されます。(預金残高証明書・融資可能証明書・不動産登記簿謄本等)
3.許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
注1) |
直前5年間の許可の継続実績については、廃業や許可の取消し、許可の有効期間が満了したことに伴う失効によって継続が途切れた場合や、一度も更新申請をしていない場合は該当しません。ただし、他の申請を伴わない初回の更新申請時については、5年間継続したものとみなされます。 |
注2) |
一般・特定いずれの場合でも、倒産することが明白である場合は、上記基準に適合していないものとして取り扱われることがあります。 |
注3) |
新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表において判断する」という点について補足しますと、例えば資本金100万円で会社を設立して、400万円増資したとしても、一度決算を終えるか、増資とは別に500万円以上の現金(資金調達能力)を用意しないと要件を満たしません。 |
D営業所の要件について
建設業法で「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時、建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。建設業に関係の無い営業所、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所や登記上の本店などは建設業の営業所としては対象外となります。
しかし、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、この「営業所」に該当することになります。
建設業許可申請においては、建設業の営業所とは、一般的には次の要件を備えているものをいうとされています。 (東京都の場合)
(1) 外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること。
(2) 電話、机、各種事務台帳等を備えていること。
(3) 契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他法人又は他の個人事業主とは
間仕切り等で明確に区分されているなど独立性が保たれていること。
(4) 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結
んでいること(住居専用契約は、原則として、認められません。) )。
(5) 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること。
(6) 経営業務の管理責任者又は建設業法施行令第3条に規定する使用人(建設工事の請負契約
締結等の権限を付与された者)が常勤していること。
(7) 専任技術者が常勤していること。
(8)単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等でないこと。
使用権原を有していることの確認
1.個人の場合
事業主本人の持ち物であれば建物の謄本で所有者欄が本人名義であることを確認。
賃貸の場合は、建物賃貸借契約書で確認。居住用となっていれば建物使用承諾書に家主から承諾をもらう。
2.法人の場合
法人所有であれば建物の謄本で所有者欄が法人名義であることを確認。
代表者個人の所有であれば、個人から法人への建物使用承諾書を作成。
賃貸の場合は建物賃貸借契約書で確認。
営業所の確認資料
営業所の確認資料としては、さまざまな資料を提出しなければなりません。たとえば
@ 営業所の写真
A 営業所を使用する権原を確認するための資料
等があります。
法人の場合必ず法人の履歴事項全部証明書(謄本)を添付しますが、本店の所在地と実際の営業者が異なる場合は、実際営業所のある所在地で申請します。
この場合の申請住所は事実上の住所になりますが、登記上の住所も記載して申請します。
自宅兼事務所の場合は?
居住スペースと事務所との区分、独立性があれば認められます。
賃貸の場合は?
賃貸の事務所でもOKですが、一部の賃貸の形態では許可が難しいものがあります。
E欠格要件について
欠格要件に該当する者は建設業許可を取得できません。主な欠格要件は以下のとおりです。
1. | 許可申請書・添付書類の中に虚偽の記載、又は重要な事項の記載が欠けているとき。 | |
2. |
法人ではその「役員等」、個人ではその本人、その他令3条の使用人(※)が次に該当するとき。 |
|
・ | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | |
・ | 不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者 | |
・ | 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者 | |
・ | 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者 | |
・ | 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 | |
・ | 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者 | |
・ | 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 建設業法、又は一定の法令の規定(※)に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 | |
・ | 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの | |
・ | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法人である場合においては、その役員等)が上記のいずれかに該当する者 | |
・ | 暴力団員等がその事業活動を支配する者 |
※一定の法令の規定については以下のとおりです。
・ |
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)」の規定(同法第31条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反した者に係る同法第46条、第47条、第49条又は第50条 |
・ |
「刑法(明治40年法律第45号)」第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条又は第247条 |
・ |
「暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)」 |
・ |
「建築基準法(昭和25年法律第201号)」第9条第1項又は第10項前段(同法第88条第1項から第3項まで又は第90条第3項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反したものに係る同法第98条 |
・ |
「宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)」第13条第2項、第3項又は第4項前段の規定による都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第23条 |
・ |
「都市計画法(昭和43年法律第100号)」第81条第1項の規定による国土交通大臣又は都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第91条 |
・ |
「景観法(平成16年法律第110号)」第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した者に係る同法第100条 |
・ |
「労働基準法(昭和22年法律第49号)」第5条の規定に違反した者に係る同法第117条(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号以下「労働者派遣法」という。)」第44条第1項(「建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51年法律第33号)」第44条の規定により適用される場合を含む。)の規定により適用される場合を含む。)又は労働基準法第6条の規定に違反した者に係る同法第118条第1項 |
・ |
「職業安定法(昭和22年法律第141号)」第44条の規定に違反した者に係る同法第64条 |
・ |
「労働者派遣法」第4条第1項の規定に違反した者に係る同法第59条 |
F社会保険に加入について(法人の場合)
令和2年10月1日の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。適用が除外される場合を除いて、社会保険の加入が資料で確認できない時は 、新規・ 業種 追加・更新申請の許可及び承継等の認可を受けられません。また、既に許可を有している場合は、許可の取消しの事由となります。
特定建設業の申請の場合
ここまで、一般建設業の許可の要件について解説してきましたが、ここでは特定建設業の場合について解説します。特定建設業の制度は、下請負人の保護などのために設けられているもので、特定建設業の許可が必要となる場合は、元請である場合で、下請に出す金額が4,000万円以上の場合です。
※建築一式は6,000万円以上。
注)金額は、1件の工事当たりで税込みです。
また、複数の下請業者に出す場合は、その合計額です。
工事材料費は含まれません。
このように、特定建設業の許可を持つ元請は4,000万円以上という金額を下請に出す立場ですので、経営面、技術面で信頼できる会社である必要があることから、特定建設業の許可は、一般建設業許可に比べて、「専任技術者」と「財産的基礎」の2つの要件が特に厳しくなっています。
勘違いの多い点ですが、特定建設業が必要となるのは、あくまで元請となる場合(施主から直接請負う場合)であって、下請となる場合には、下請に出す金額の制約はなく、4,000万円以上であっても特定建設業は不要です。
特定建設業の許可要件として一般建設業と異なるのは、
・専任技術者の要件
・財産的基礎の要件
の2点で、それ以外は一般建設業と同様です。
1)専任技術者の要件
専任技術者については、「特定建設業」許可申請の場合は、「土木工事業」は「指定建設業」となっており、実務経験による専任技術者にはなれません。
※「指定建設業」とは、土木工事業、建設工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の計7業種です。
つまり、「土木工事業」については、上記の何らかの資格を持っている方がいなければ特定建設業の申請はできませんので注意が必要です。
資格に関しては、特定建設業は、一般建設業よりも上級の資格が必要となります。例えば、土木施工管理技士野場合は、二級ではなく一級の資格が必要になります。先に解説した資格の表で◎印のついているものが特定建設業の資格に該当します。
2)財産的基礎の要件
特定建設業の場合は、以下のすべてを満たす必要があります。特定建設業に関しては、下請負人保護のため更に厳格な要件となってい ます 。
※一般・特定いずれの場合でも、倒産することが明白である場合は、上記基準に適合していないものとして取り扱われることがあります。
1.欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
法人: |
[(繰越利益剰余金の負の額 資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金 |
個人: |
[(事業主損失−事業主借勘定−事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)/資本金] ×100≦20% |
2.流動比率が75%以上であること
(流動資産合計 ÷流動負債合計 ) ×100≧75%
3.資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
法人: | 純資産合計≧4,000万円 |
個人: |
(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)−事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金≧4,000万円 |
注) |
申請時直近の確定した貸借対照表(定時株主総会の承認を得たもの)において上記全てを満たす必要があります。 |
まとめ
「土木工事業」の建設業許可を取る方法について解説してきました。許可要件そのものの理解も難しいところがあるかと思いますが、特に要件を満たすことの立証のために必要となる証憑が保管されているかどうかが申請の実務上は大切なポイントとなります。
許可を取りたいと思っても、要件を満たせるかどうか自信がないという方は、弊事務所に一度御相談ください。
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